こんにちは。テクノシェルパ技術コンサルタントの竹森です。
防水設計のOリング圧縮に関して、
- 3D-CADによる設計だけではOリングが均一に圧縮されているかを検証できない
- 社内のデザインレビュー等で設計の妥当性を説明できない
というご相談が多いため、今回はOリングを用いた防水設計での確認手法の一例を説明します。
例えば、図1のように上下ケース間の防水をOリングで担保させる薄型筐体の製品では、防水構造の品質を悪化させないためにOリングは均一に圧縮させる構造設計が重要になります。
図1 Oリングを用いた筐体
しかし、現実は以下のようないろいろな要因で図2のようにOリングの圧縮が均一にならない場合があります。
- ケースの剛性が低く、パッキンの反力でケースが変形する。
- 上下ケースを止めるネジが不足、もしくはネジ位置が偏っている。
- ボタンなどの意匠部品位置を配置することで変則的なOリング溝となる。
図2 ネジ止め時のOリングの反発
実際にこのシミュレーションモデルを計算してみると、図3に示すようにネジ間でOリングの圧縮率が一様にならず、低下していることが分かります。
このシミュレーション結果を元にして、樹脂ケースの真中にもう1箇所 ねじ止めを追加する手法や樹脂ケースの厚みを変更して剛性を上げる手法を対策案として考えることができます。
図3 ネジ止め時のOリング圧縮率変化
このようにシミュレーションを用いると、数値で課題や改善効果を示すことができますので、構造設計にシミュレーションを取込んでいくことは、今や必須であると思われます。
しかし、シミュレーションを効果的に活用するためには、積み重ねたノウハウや適性範囲を設定するための実験による検証が必要となり、すぐに構造設計技術が立ち上るものではありません。実際にシミュレーションツールを導入したけれども構造設計技術は立ち上がらなかったという事例も聞いています。
当社ではシミュレーションによる数値検証を用いた防水設計を、テクノシェルパの技術コンサルティングサービスとしてご提供しております。このような技術導入でお困りの際には、是非お声がけください。
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