テクノシェルパ技術コンサルタントの原田です。
テクノシェルパではEMCの実践型基礎講座の開催を準備中です。今回はこの講座の概要についてご紹介します。
EMCについて、皆様の関心が高いことは テクノシェルパ ブログ「EMC対策セミナーに技術者からの熱い眼差し。 EMCの勉強はWeb検索もお勧め」でもご紹介したとおりです。
WTIでは、こういった皆様のご要望にお応えすべく、EMCに関心のある人、ノイズ対策を始めた/始めようとしている人を対象に、「EMC、ノイズ対策とはこういうものだ」と言うことを知っていただくための、初心者向け講座を開設することといたしました。
この講座では、テクノシェルパが重視する「実践力の獲得」を実現すべく、
Ø EMCの概要を学べる
Ø ノイズ対策の基本を、原理原則に基づいて学べる
Ø ノイズ対策(伝導エミッション対策)の実践的な実習により、EMCへの理解を深めていただける
ことを盛り込んだプログラムにしています。
講座では実習を伴いますが、電気電子回路の知識があまりなくても、ごく基本的な回路知識(インピーダンスとは何かを知っている程度)を持っている方であれば大丈夫です。講座中は講師・スタッフが適宜ご支援いたします。
現在準備中の「実践的」プログラムの内容を少しだけご紹介しますと、まず座学としては、WTIホームページの「電子回路設計 ヒントPLUS☆ / EMI対策」にある #012 EMI対策 ~パスコン配置にも作法がある~ のような「原理原則」に基づいた対策のポイントについて、データを示しながら、その効果や挙動を理解いただこうと考えています。
図1、2は実習で使用する予定の実験回路を用い、伝導エミッションを測定したデータです。
<実験条件>
ノイズ源: | DC/DCコンバータ |
ノイズフィルタ: | 3種類の容量のバイパスコンデンサを約5cm間隔で配置 |
LISN: | EMC規格に準拠した、電源ラインに重畳されたノイズを抽出する治具 |
図1と図2は容量の異なるコンデンサの並び順を変えただけですが、20 MHz以上のノイズレベルに10 dBもの差が現れています。
単に回路図からの理論ではフィルタの効果は同じであるはずです。しかし、実際には回路の配線が持つインダクタンスの影響により、20 MHz以上でノイズ抑制効果があがるはずの、470 pFコンデンサの共振周波数が変わってしまったため、ノイズレベルに差が現れたものと考えられます。
このように理論と実際で結果が異なる、ということはノイズ対策の実践の場ではよく起きることです。
実習では、あらかじめ決めたことをやるのではなく、受講者の方がやってみたい、と思ったことをできるように配慮しますので、効果が出そうだ、と思ったことをやってみることも、上記のように座学で学んだことを確かめることもできます。
講座は2020年5月開催予定です。どうぞご期待ください。
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