防水設計はどのような機器に対して施すものでしょうか?
それは、その機器の使用環境要因に大きく依存しますので、ちょっと分類してみましょう。
まずは、「水中」ですね。
淡水もあれば海水やその他の液体中の使用環境があります。
通常は水中でなくても、何かの原因で水に浸かることが想定されるものは、同様に水中使用のための防水をしておきます。
次に、水滴が付着する可能性のある環境です。
機器の使用場所付近に水があり、それが飛散してくる場合や、ウェアラブルデバイスのように、使用中、人の汗が付着・侵入してくる場合、土中が設置環境の場合もそうです。
また、湿度の高いところや、ある一定の気象条件が揃うと霧が発生するような場所なども防水性を考慮する必要があります。
以上述べてきました、外部からの水の侵入を防ぐことに加えて、筐体内の水分によって発生する結露への対策も併せて設計に織込みます。
屋外設置の場合は勿論ですが、屋内においても上記の点をしっかりとおさえた上で、防水設計の要否を判断することが不可欠です。
防水設計か否かによって、そして防水の場合も、どの防水規格に合わせるのかによって、筐体の設計方針が変わり、その結果、開発期間や開発コストに大きな影響を与えるからです。
防水を考慮する筐体設計と考慮しない設計では、異なるポイントが3つあります。
1. デザイン上の制約
防水性能を確保するためには、そのための部品を配置するスペースを確保する必要があります。これが、筐体のデザインに大きな制約条件となり得ます。
2. 放熱特性の低下
防水筐体は、密閉筐体となることから、換気ができなくなります。換気ができなくなりますと、放熱がうまくできなくなり、機器の寿命に大きな影響を与えます。
3. コストの上昇
以上のような成約条件の中で最適解を探しつつ、防水用部品を付加することが必要ですので、設計コストが増大しがちです。コストの上昇を抑制しながら、機器の性能・寿命・デザイン性の要求を満たすことが求められます。
防水筐体の設計はこのように一般的な筐体設計とはレベル感が異なりますので、しっかりとしたアプローチを採る必要があります。 以前セミナーを企画されている方から伺ったお話では、防水筐体設計のことを知りたいと思っておられる技術者の数は多いものの、体系的に勉強できるセミナーは少ないそうです。
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