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コンデンサの原理と構造(その2)

みなさんこんにちは。テクノシェルパ技術コンサルタントの森です。

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前回のブログ・コンデンサの原理と構造ではコンデンサの原理についてご紹介しました。今回は実際に使われるコンデンサの内、代表的なセラミックコンデンサの構造や材料について検証してみたいと思います。

まずは前回のおさらいです。図1は前回のブログでもご説明した平行板コンデンサで、その静電容量Cは以下の式で求めることができます。

C=ε0εrS/d     (1)

ここで、ε0は真空の誘電率、εrはその物質の比誘電率です。

 

それではセラミックコンデンサについて考えてみましょう。

セラミックコンデンサとは、誘電体にセラミックス材料を用いたコンデンサです。

面実装タイプセラミックコンデンサの外観を図2(a)に示します。面実装タイプはその形状からチップコンデンサと呼ばれることが多く、流通量が多い0603型のチップコンデンサで、0.6 mm(L)☓0.3 mm(W)という非常に小さなものです。

そして、小さなサイズであっても数10 μ~数100 μF程度の大きな静電容量も実現できます。

次に構造ですが、図2(b)のように外部電極に接続された内部電極(図1のような板状をイメージしてください)がセラミックスを挟んで幾重にも積層した構造になっています。

図2(b)は断面図で、電極と電極の間の層数が3層のコンデンサです。図中に小さくコンデンサ記号を示したように、上下の内部電極同士が平行板コンデンサを形成しますので、層数と同じ3個の平行板コンデンサが形成されます。

これらの平行板コンデンサは、外部電極から見ると図2(c)のような並列接続回路に置き換えられます。同じ大きさのセラミックコンデンサで静電容量を大きくするには、積層数を増やせばよいことがわかります。
(静電容量の大きなセラミックコンデンサは、積層数が数100層から1000層以上になります。)

そして、セラミックコンデンサの主材料であるセラミックスは、誘電体としてセラミックコンデンサの静電容量を左右します。

セラミックスの比誘電率を例に挙げると、高誘電率系と呼ばれるもので1000~20000と非常に大きな値です。式(1)に照らせば、セラミックコンデンサはこの大きな比誘電率によって、小さなサイズでも大きな静電容量を実現できることがわかります。

ここまでの内容から以下のことをご理解いただけたと思います。

◎セラミックコンデンサは、内部電極を多数積層することと大きな比誘電率のセラミックを用いることで、小さなサイズでも大きな静電容量を実現できる。

それでは、もう少し具体的なイメージを持っていただくために試算をしてみましょう。
※以下で用いる各数値はあくまで試算用であることを予めお断りしておきます。

0603型のセラミックコンデンサにおいて、静電容量C=1 μF、高誘電率セラミックスの比誘電率εr=20000、内部電極の重なりが0.5 mm×0.25 mmで、積層数n=100のとき、内部電極の層間距離dはいくらになるか求めてみましょう。

まず、式(1)を積層数nを考慮した式にします。内部電極同士によって形成する平行板コンデンサのn倍がこのコンデンサの容量Cですから、

= n(εoεrS/d)   (2)

式(2)を変形してdの式にすると、

= nεoεrS/C    (3)
=(100×8.85×10-12×20000×0.5×10-3×0.25×10-3)/(1×10-6)
≒2.21×10-6[m]=2.21 [μm]

このセラミックコンデンサの内部電極は、なんと、厚さ2.2μmというとても薄い誘電体によって隔てられているという試算結果になりました。

さらに、誘電体の厚さが薄いということは、層間の絶縁耐圧に影響し、コンデンサの耐電圧は低くなるんですね。(セラミックコンデンサメーカーの静電容量と耐電圧の関係を確認してみてください。)

コンデンサの原理を理解し、構造と材料という情報を手に入れることで、セラミックコンデンサ内部にはミクロの世界が広がっており、このことによって小さなサイズであるにもかかわらず大きな静電容量を実現できているということがわかりました。

回路の実務で使うセラミックコンデンサについて単に部品として使うだけでなく、やや雑学的ながらも詳しく部品のことを知るのは、好奇心を刺激し楽しいことであると思いますし、大切な実践学習の一つであると考えています。そしてこのような知識を持っていることで思わぬトラブル回避につながったりもします。

テクノシェルパの技術者教育では、このような実践学習サービスをご提供しております。

 

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