#047 EMI対策 ~フィルタ(インダクタ その1)~ から#053 EMI対策 ~フィルタ(キャパシタ その2)~では、主にインダクタとキャパシタの特徴を学びました。そこからなみりんは、インダクタやキャパシタを道具として使いこなしたいと考えているようです。
昇平博士、伝送線路に希望周波数の信号を通して、不要帯域のノイズを遮断する回路を考えているんですが、インダクタやキャパシタの定数はどうやって決めれば良いでしょうか。
定数を決める前に、2端子対回路(または4端子回路や、2ポート回路)で使われるSパラメータを使って考えてみよう。
そもそもSパラメータって何ですか。学生の頃は、2端子対回路でZパラメータやYパラメータ、hパラメータ、Fパラメータを講義で学んだ記憶があるんですが、いまいちよくわからないで終わってます。
ではSパラメータから説明をしようか。定数を決めるまで話が長くなるので根気よく進めていこう。
下の2端子対回路はPort 1とPort 2の電圧と電流を示しており、Zパラメータをはじめ、Yパラメータ、hパラメータ、Fパラメータで使っておる。なみりんが学生時代に学んだやつじゃな。
これに対して、、、
Sパラメータで2端子対回路を表現すると下のようになる。SパラメータはPort 1の進行波a1と反射波b1、Port 2の進行波a2と反射波b2の割合で構成されているのが特徴で、式(1)が定義される。
S11、S12、S21、S22は何ですか?
Sパラメータの意味から説明しよう。Sijとは、Port jから信号を入力し、Port iから出力される信号の割合を示しておる。S11、S12、S21、S22は以下のとおりじゃ。
S11、S12、S21、S22はそれぞれ、どんなふうに式で表現するのですか?
ここでは2通りの回路パターンで考えてみよう。
1つ目はPort 1から信号を入力する。さらに2端子対回路のPort 2は負荷Zoをつないで整合を取った状態を考えてみよう。Port 2から負荷Zoを見ると、b2は負荷端Zoへ進行し、a2は無反射(ゼロ)になる。したがって式(1)から、S11とS21を示すことができる。
2つ目にPort2から信号を入力して、2端子対回路のPort 1は負荷Zoをつないで整合を取った状態を考えてみよう。このときPort 1から負荷Zoを見ると、2端子対回路の出力信号b1は負荷Zoへ進行し、a1は無反射(ゼロ)になり、式(1)からS22とS12を示すことができる。
なるほど。
S11、S12、S21、S22の添え字の意味、2端子対回路に構成されたa1、b1、a2、b2の構成方法、S行列から得られた式(1)、各々が成り立つようにうまくかみ合っていますね。
そうじゃな。
次回も引き続きSパラメータについて学んでいこう。