前回スミスチャートについて簡単に説明したが、今回は抵抗、キャパシタ、インダクタを使ってスミスチャート上およびアドミッタンスチャート上でインピーダンスおよびアドミッタンスを動かしてみよう。
はい。よろしくお願いします。
あるインピーダンスに直列に抵抗/コンデンサ/コイルを接続した場合はスミスチャートを、並列に接続した場合はアドミッタンスチャートを使うのじゃ。
ではどのようにチャート上を動くのかを説明するぞ。
今回あるインピーダンスzは0.5-j0.5 Ω というインピーダンスにしている。
①は このzに直列に抵抗を接続した場合、リアクタンス成分は変化しないので、等リアクタンス円上を抵抗が大きくなる方向(紫の矢印方向)へ動くのじゃ。
はい。方向はわかったけど、どのくらいの長さ動くんですか?
うん。いい質問じゃ。
例えば、20 Ωの抵抗を直列に接続した場合、Z0=50 Ωで正規化したスミスチャートの場合、20/50 = 0.4のメモリだけ紫の矢印の方向へ動くのじゃ。
うん。方向も長さもわかりました。それから?
次は② 直列にキャパシタを接続した場合じゃ。
抵抗成分は変化しないので、等抵抗円上を反時計回り-赤の矢印方向へ動くのじゃ。
例えば、C=6pFのキャパシタを直列に接続し、周波数1GHzと仮定した場合、
となる。 Z0=50 Ωで正規化したスミスチャートの場合、26.5/50 = 0.53のメモリだけ赤の矢印の方向へ動くのじゃ。
次に③直列にインダクタを接続した場合じゃ。
抵抗成分は変化しないので、等抵抗円上を時計回り-緑の方向へ動くのじゃ。
例えば2nHのインダクタを直列に接続し、周波数1GHzと仮定した場合、
ωL = 2πfL = 2 × 3.14 × 1 × 109 × 2 × 10-9 = 12.6 Ωとなる。
Z0=50 Ωで正規化したスミスチャートの場合、12.6/50 = 0.25のメモリだけ緑の矢印の方向へ動くのじゃ。
なるほど。直列接続でのスミスチャートの動きはよーくわかりました
続いて並列に接続した場合じゃ。
あるアドミッタンスyは1.0+j1.0 Sというアドミッタンスにしておる。
④は並列に抵抗を接続した場合で、サセプタンス成分は変化しないので、等サセプタンス円上をコンダクタンスが大きくなる方向-紫の矢印方向へ動くのじゃ。例えば20 Ωの抵抗を並列接続させた場合、
のメモリだけ紫の矢印方向へ動くのじゃ。
⑤は並列にCを接続した場合で、コンダクタンス成分は変化しないので、等コンダクタンス円上を時計回り-赤の矢印方向へ動くのじゃ。例えば2pFのキャパシタを並列接続させた場合、
のメモリだけ赤の矢印方向へ動くのじゃ。
⑥は並列にLを接続した場合で、コンダクタンス成分は変化しないので、等コンダクタンス円上を反時計回り-緑の矢印方向へ動くのじゃ。例えば10nHのインダクタを並列接続した場合、
のメモリだけ緑の矢印方向へ動くのじゃ。
R,C,Lを直列、並列に接続することでいろんな動き方をするんですね!
スミスチャートの便利さがわかってきました。
ふむふむ。よろしい。
また、このスミスチャートとアドミッタンスチャートを重ねあわせたものをイミッタンスチャートと言うのじゃ。こうしてイミッタンスチャート上で①から⑥の組み合わせにより、つまり抵抗/コンデンサ/コイルを直列や並列接続することで思い通りの軌跡を描くことが可能となるのじゃ。
今回はここまでにしておこうかのぉ。次回、所望のインピーダンスへ動かすことをやってみよう。
はい。ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。