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今回も引き続き、キャパシタの共振のお話です。
前回は並列に2個接続したキャパシタの合成インピーダンスを求め、グラフ化する計算ツールを作った。(#067 EMI対策 ~キャパシタの共振2~、#068 EMI対策 ~キャパシタの共振3~ 参照)
今回はこの計算ツールを使って、反共振インピーダンスの抑制や低インピーダンス化の検討をしてみよう。
●検討1
Z1のキャパシタを0.1μFで固定し、Z2のキャパシタC2を変化させたときのインピーダンスを調べてみよう。 0.1μFとC2のESL(0.3nH)とESR(0.02Ω)は同じ値にして計算するのじゃ。
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キャパシタC2の定数をいろいろ振ってみました。
C2の定数が0.1μFから離れるほど反共振のインピーダンスが高くなっていますね。
次にESRの反共振インピーダンスへの影響を把握するために、キャパシタの容量とESLを固定し、ESRを変化させた時のインピーダンスを調べてみよう。
●検討2
キャパシタの定数を0.1μFと100pFに設定する。
0.1μFと100pFのESLは0.3nHに固定し、ESRを同時に振ってみよう。
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0.1μFと100pFのESR1、ESR2を同時に振ってみました。
共振時のインピーダンスに変化がありました。
ESR値が高くなると、各々のキャパシタ自己共振周波数付近のインピーダンスは高くなりますが、反共振周波数のインピーダンスは下がります。
そうか!ESRは反共振の対策につかえそうですね!
なみりん、いいところに気が付いたようじゃな。
ESRの影響について、0.1μFのESR1のみ変化したときのインピーダンスを下図に示しておこう。
ESR1を高くすると0.1μFの自己共振周波数のインピーダンスが上がるが、反共振周波数のインピーダンスが下がっていることが分かる。
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同様に下図は、100pFのESR2のみを振ったときのインピーダンスの変化を示しておる。ESR2を高くすると100pFの自己共振周波数のインピーダンスが上がるが、反共振周波数のインピーダンスが下がっていることが分かる。
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ESR1とESR2を個別に上げても、反共振インピーダンスは下がるんですね。
そうなのじゃ。
ESRが影響している自己共振周波数と反共振周波数のインピーダンスにはトレードオフの関係があるので、ノイズ対策ではESR1とESR2はバランスよく選択するのじゃ。
次回は、ESLを調整してみよう。
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次回も計算ツールを使って、キャパシタのESLについて検討を行います。