Wave Technology(WTI) | 半導体周辺回路とその応用製品の開発・設計会社

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#037 電源 ~パワエレ設計(リアクトルの選定)~

リアクトルは、コア材料、コア形状、線材、巻き方などを考慮し、設計する製品仕様に合わせ、適材適所で選定します。

1.コア材

主に4種類あり、特徴は以下のとおりです。 飽和磁束密度、使用周波数、コストなど考慮して選定する必要があります。

(1-1)ケイ素鋼板

飽和磁束密度と透磁率が高いため、少ない巻き数で大きなインダクタンスを作れ、巻き数を小型化できる。 主に、50Hz~20kHzくらいまでの周波数領域で使用される。

(1-2)ダスト系コア

金属の粉末を絶縁処理して加圧成形したコア材料。 ギャップが磁路に対して均一に入るうえ、漏れ磁束が小さく、飽和磁束密度が高いのが特徴。 ケイ素鋼板よりも高い周波数領域で使用しても、鉄損が少なく、形状を自由に作れることからコアを小型化できる。

(1-3)フェライト・コア

酸化鉄粉を加圧成形し、焼結させたコアで比較的材料の固有抵抗値が高いので、鉄損を小さくできる。 そのため、数百kHz以上の高周波において使用でき、高周波化によるリアクトルの小型化が期待かつコストも安価である。 但し、飽和磁束密度が、他の材料と比べ低いので、注意が必要。

(1-4)アモルファス材やナノ結晶軟磁性合金

飽和磁束密度が高く、高周波での鉄損も少ないことから、高周波回路には最適。 但し、他の材料と比べ、コストが高い。

2.コア形状

コア形状も、トロイダル型、U字型、EE型、EI型など、様々な種類があります。 U字型のカットコアは、ケイ素鋼板やアモルファスなどのリアクトルに使用されます。 EEコア、EIコアは、フェライト・コアの形状としてよく使用されます。 用途に応じてコア形状も最適化することが必要です。

3.巻き方(線材)

巻き方も様々な種類があります。 パワエレでは高周波の大電流、高電圧を扱いますので、銅線の太さや耐圧の確保、漏れインダクタスの低減など、銅線の構成/巻き方も用途に応じて多種多様です。 巻き線は単線以外にも、大電流の場合は平角銅線を使用したり、数百kHzの高周波では、表皮効果による銅損増加をさけるため、細いリッツ線を用いたりします。 また、平角線を幅が長い方向を使って巻くエッジ・ワイズ巻きは、占有率を上げ、発熱を均一化したりするための有効な手段です。

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