#010 EMI対策 ~パスコンはコンデンサじゃないって??~ 2017年10月16日2018年1月23日 ohara.yuji ノイズ対策としてよく採られる方法がバイパスコンデンサ(通称パスコン)の挿入。ノイズをグラウンドに流し込んでしまうという作戦ですね*。でも、パスコンを入れたのにノイズが全く減少しない、それどころか、増えてしまったっていう経験をお持ちではありませんか。 パスコンは使い方によっては、コンデンサとして機能せずに、インダクタンスになってしまうからなんです。 パスコン自体が寄生インダクタンス成分を持っていますし、パスコン周辺の回路も寄生インダクタンスがありますので、パスコンは(と言いますか、コンデンサ全てにおいて)、LC直列回路になっているんです。 LC直列回路の共振周波数より上の周波数では、CではなくLとして機能してしまいますから、ノイズ を"バイパス"してくれないのです。つまりこの状態では、パスコンとは言えない状態なんです。 ですから、パスコンを使うときは、トータルの寄生L値を見極めて、LC共振周波数がノイズ周波数よりも上になるように気を配ることが不可欠なのです。 *グラウンドに流し込まれたノイズは厳密な意味で、消え去る訳ではありません。リターン回路を経由して電源に戻っていきます。ですから消えてはいないのです。しかし、パスコンがノイズ対策として機能するのは、パスコンによって、閉ループ内にノイズがスムーズに流れ続けるようにすることで、ノイズが閉じ込められた状態になるからです。これによって、他の回路まで波及したり、放射するまでに至らないためノイズ対策になるのです。 EMI対策, 電子回路設計 ヒントPLUS☆