こんにちは。第二技術部 カスタム技術課の井上です。
このたび、WTIでは微小電流評価サービスを開始しました。本サービスは半導体、電子部品、絶縁材料のリーク電流測定など、µA以下の電流測定に対応した受託評価サービスとなります。また、微小なリーク電流測定が要求される、車載向け電子部品の信頼性試験規格(AEC-Q101、AQG-324)に準拠した試験サービスにも対応します。
今回はその信頼性試験規格に準拠した試験の中で、高温逆バイアス試験(HTRB試験)について概説した後、WTIの微小電流評価サービスの特徴についてご紹介したいと思います。
AEC-Q101、AQG-324などの車載向け電子部品の信頼性試験規格については、以下のブログでご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
⇒車載用電子部品の規格に準拠した試験サービス立ち上げに向けて
高温逆バイアス(HTRB)試験の概要
高温逆バイアス試験(HTRB:High Temperature Reverse Bias)とは、トランジスタやダイオードといった半導体デバイスが、高温環境や高電圧の逆バイアスストレスに対してどれだけ耐性があるかを評価するための試験です。細かな試験条件が異なる場合がありますが、AEC-Q101、AQG-324の両方に対応する試験となっています。
具体的に、AEC-Q101のドキュメントにはHTRB試験について以下のような記述が示されています。
表 1 HTRB試験の概要
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試験方法はMIL規格のうちMIL-STD-750を参照にしており、追加要件も含めて主な試験条件は以下のようになります。
表 2 AEC-Q101規格におけるHTRB試験の主な試験条件
項目 |
内容 |
バイアス値 |
・ダイオード類の場合 ・トランジスタ類の場合 |
周辺温度 |
最大定格温度 |
試験時間 |
1000 h |
サンプル数 |
77 サンプル / ロット × 3 ロット |
その他 |
試験前後において、製品の使用方法などに適した条件で、室温にて動作確認を実施する。 |
図 1 HTRB試験回路イメージ
その他、AQG-324のドキュメントには試験中のデータ収録項目として、リーク電流(コレクタ-エミッタのリーク電流ICE,leak、ドレイン-ソースのリーク電流IDS,leak)を連続的に測定することが規定されています。
信頼性試験規格を紹介したブログの中でも言及されていますが、リーク電流値は数十nA~数百µA程度と非常に小さく、汎用的なマルチメータではギリギリ測定できるかどうかのレベルです。
要求レベルの高い測定項目に加えてサンプル数も多いことから、なかなか簡単に実施できる試験ではないことが伝わってきます。
多チャンネル対応の微小電流評価サービス
WTIにて立ち上げた微小電流評価サービスは、µA以下の測定を可能とし、半導体デバイスのリーク電流も問題なく測定できる精度があります。
微小電流の評価では、温度や測定環境(ケーブルや測定ボード自体)によっても誤差が生じ、安定した測定が問題となります。
WTIでは独自で開発、構築した環境を用いて、精度の高い微小電流測定を実現しています。さらに、自社設計のソフトウェアにより、多チャンネルを長時間モニタリングすることが可能です。
- 微小電流(数十pA~µA程度)を多チャンネルでモニタリング(測定)が可能。
- 高電圧印可時(~1000 V)の微小電流が測定可能。
- 温度:-40 ℃~150 ℃、湿度:30~95 %rhまで対応。
- 上記電圧・電流・温度範囲以外の場合にも適宜対応。
図 2 高精度微小電流測定用設備 | 図 3 多チャンネル用オリジナル基板 |
もちろん、上記でご紹介したAEC-Q101、AQG-324規格準拠のHTRB試験も対応できます。この他にも、高温ゲートバイアス試験(HTGB)や高温高湿逆バイアス試験(H3TRB)などの規格試験も実施可能ですので、ぜひご利用検討ください。
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