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「パワー半導体」スイッチング評価の電流測定 その2 ~カレントトランスとロゴスキーコイルの特徴~

みなさんこんにちは
パワーデバイス設計課の伊達です。

前回のブログ「パワー半導体」スイッチング評価の電流測定では、電流測定に使用するカレントトランスとロゴスキーコイルの特徴についてお話ししました。

今回は、ロゴスキーコイルを使用した場合のスイッチング評価についてお話します。

 

この方法の長所のひとつは、クランプ式のためパターンを切断して導線で再配線することなく電流測定ができるため、測定回路のインダクタンスを低減できることです。

一方で、磁界の影響を受けやすい短所もあります。その影響で波形が歪むこともあります。歪みは、特に電流が小さい場合に顕在化する傾向にあります。

図1にMOSFETの測定回路、図2、図3にターンオフの波形例を示します。測定電流が26 Aの場合(図2)は、電流波形に歪みはありませんが、電流が小さい5A時の波形(図3)では立ち下がり時に波形が歪んでいます。

 

図1 MOSFET測定回路例

 

図2 ターンオフ(380 V 26 A)波形例

 

図3 ターンオフ(380 V 5 A)波形例

 

WTIでは、ロゴスキーコイルの短所である磁界の影響を抑制する独自の方法で、この歪みを抑制することができます。図3の「ID独自測定」がその結果となります。通常の測定方法で測定した「ID通常測定」と比較して、歪みが大幅に改善されていることがわかります。

また、ロゴスキーコイルは、設置する箇所によって磁界の影響を受けやすくなります。表1にロゴスキーコイルの設置箇所による影響を示します。

表1. ロゴスキーコイルの設置箇所による影響

デバイスからの距離

ノイズの影響

回路インダクタンス

サージ電圧

近くに設置

遠くに設置

 

デバイス近辺に設置することで磁界の影響は大きく、逆に遠くに設置することで磁界の影響を抑制することができます。ただし、回路インダクタンスが大きくなり、特性に影響(サージ電圧)を与えます。このためロゴスキーコイルは極力パワー半導体の近辺に設置し、ID独自測定を行うことで理想的な波形に近づけることが可能となります。

WTIでは、モデルベース開発のご要望にお応えするために、パートナー関係にあるシミュレーションモデルベンダ様との協業を進めています。

パワー半導体のスイッチング時の挙動をシミュレーションで精度よく再現するためには、デバイスモデル作成時に、基準となる「正確な実測波形」が必要になってきます。ご紹介させていただいたとおり、「正確な実測波形」を測定するためのノウハウをWTIでは保有しており、このようなご要望にもお応えしております。

 

今回は電流測定の事例についてお話ししましたが、WTIでは、電流測定以外にもパワー半導体の特性を正確に測定するための多くのノウハウを有しています。パワー半導体メーカー様はもちろん、パワー半導体を使用しているエンドユーザ、前述しましたシュミレーションモデルベンダ、大学、研究機関など様々なお客様からご依頼をいただいております。

パワー半導体のことでお困りの際には、是非お声掛けください。

 

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