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電源用チョークコイルについて

みなさん、こんにちは。
第二技術部電源設計課の富永です。

以前にダイオードとFETについて、お話しさせて頂きましたので、今回は電源用チョークコイルについて、お話ししたいと思います。

ダイオードとFETは、各メーカの汎用品を選定しますが、電力が大きい電源で使用するチョークコイルは、汎用品が少なく、カスタム品を採用することが多いです。カスタム品は、自由に仕様を定めることができるのですが、それが故にどのようにして仕様を決めればよいのか判らない方も居られるかと思います。このため、ここではコア材の紹介と巻き数の決め方について少し紹介します。

【関連リンク】

 

<チョークコイル作製に必要な仕様>

  • コア材
  • コアのサイズ
  • コアの透磁率
  • 巻数
  • 巻線の線径

 

 

コア材について比較したものを表1に示します。(コア材はメーカ毎に名称が異なる場合があります。)

ケイ素鋼板はトランス等でよく使用されている材料です。パーマロイは、ニッケル‐鉄合金の通称で透磁率の高い材料ですが、ニッケルを使用しているためコストが問題でした。そこで、ニッケルを使用しないセンダスト(Fe-Si-Al合金)が東北大学で発明されたそうです。

コア材の性能としては、直流重畳特性(コイルLに大きな直流電流を流すと、コア材の磁気飽和という現象によってインダクタンスの性能低下を起こす)が高く、コアロス(磁性材料のコア材にはヒステリシス損と渦電流損の2つから成る交流損失)が低いことが求められます。また、これらの性能は、使用条件によっては、有意差がない場合もありますので注意が必要です。

 

表1.コア材の比較

 

コアのサイズと透磁率は、決まった仕様がありますので、コアメーカのホームページ等を参考にしてください。筐体や基板のサイズから、コアサイズはある程度決まってくると思います。

コイルの巻き数は必要とするインダクタンスと採用するコアの特性によって決まります。まず、コアのNI-AL特性グラフからコイルの巻き数と電流値に応じたインダクタンス係数ALを求めます。 (NI=巻き数×電流 ,AL=インダクタンス/巻き数の2乗)

例えば、巻き数が50[T]で電流が10[A]の場合、NIが500(50[T]×10[A])となり、図2からAL値は120[nH/N2]になります。インダクタンスはインダクタンス係数ALに巻き数の2乗をかけることで求めることができ300[μH](120[nH/N2]×50T2)になります。このようにして、必要なインダクタンスになるように、コアの仕様と巻数を決めます。

 巻線の線径は、電流、抵抗から決めますが、コアに巻ける巻数と線径になるように注意する必要があります。

 

図2.NI-AL特性

 

以上、チョークコイルについて紹介させて頂きました。

 

インダクタンスは試算できますが、損失、温度上昇、ノイズを試算するのは難しいため、評価で確認することが必要になります。評価する時間や設備がない、検討しているが問題があるなどでお困りの場合はまずはWTIにご相談ください。

WTIでは、電源設計、評価はもとより、基板設計、ノイズ対策、熱シミュレーションなどの幅広い知識と経験を有しておりますので、お役に立てることは多いと思います。

 

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