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パワー半導体デバイスの特性

こんにちは。電源設計課の久保です。ブログを書き始めてから、地道に電源に関わる勉強を続けております。前回までは、制御理論に関する勉強をしていましたが、近頃はパワー半導体デバイスに関する勉強を始めました。

パワー半導体デバイスは、パワーエレクトロニクスでは非常に重要な部品の一つです。今回は、そのパワー半導体デバイスに関する話をしたいと思います。

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パワー半導体デバイスは、素子単体で構成されるものはディスクリート半導体とも呼ばれることがあります。半導体素子を複数組み合わせてチップにしたものは、IC(集積回路)と呼ばれています。どちらも半導体デバイスではありますが、パワー半導体デバイスは電力の変換や制御を行うのに対して、ICは演算や情報の記録を行っているという違いがあります。
私が普段、業務でよく扱っているのは、電気の変換、制御を行うパワー半導体デバイスです。

以下に、よく用いられるパワー半導体デバイスとその大まかな特徴について記します。

●ダイオード

基本的にはP型半導体とN型半導体を接合させたもので、主に電流の整流に用います。最も基礎的なパワー半導体デバイスですが、半導体に不純物を注入したり、一方を金属にしたりすることで、整流機能を保ちながら特性を変えることができ、その特性によって様々な種類に分類されます。
(ex.PN接合型のダイオードでは、逆耐圧を高めたPINダイオード、スイチング後の逆回復時間を早めたファストリカバリダイオードなどがあり、金属-半導体接触型のダイオードでは、順方向電圧が低く低損失で逆回復時間が早いショットキーバリアダイオードなどがあります。)

パワー半導体デバイスとしてのダイオードには、他のパワー半導体デバイスと同様に、高耐圧・大電流・高速動作・低損失の各性能が求められます。

●バイポーラトランジスタ

電流増幅としても用いられますが、パワーデバイスとしては主にスイッチングデバイスとして使用されますので、電流駆動型のスイッチと言えます。半導体の組み合わせによってNPNとPNPの2種類が存在します。非常に安価で、電流増幅率が高いため、小さな電流から大電流を得ることができます。ただし、電流駆動ゆえに消費電力が大きくなることや、高速動作に適していないといった条件もあり、大電流・高速動作用途はMOSFETやIGBTが主流となっています。

●MOSFET

電圧駆動型のスイッチと言えます。バイポーラトランジスタと異なり、高速動作に適しており、損失が少ないという特徴を持ちます。ただし、損失を抑えるために耐圧が犠牲になってしまうため、高耐圧用途に不向きという欠点があります。

●IGBT

MOSFETと同じく電圧駆動型のスイッチですが、MOSFETに比べて高耐圧用途に向いており、かつ大電流化にも適しています。構造的には、MOSFETとバイポーラトランジスタの組み合わせになっており、双方の利点を取り込んでいます。ただし、構造が複雑になる分コストが上がることと、バイポーラトランジスタの特性を含むため、MOSFETに比べて高速動作に対応しにくいところが難点となっています。

 

いかがでしたでしょうか。次回のブログでは、各デバイスが上記のような特徴を持つ理由を、パワー半導体デバイスの構造とキャリアの動きに注目して、簡潔に解説したいと考えています。

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