Wave Technology(WTI) | 半導体周辺回路とその応用製品の開発・設計会社

WTIは技術者不足を解決する「開発設計促進業」です

高周波回路の設計と試作 ~シミュレーションと実際~

みなさんはじめまして。
第一技術部 システム設計課の湯川です。

私は今年の4月に入社した新入社員です。現在、主に高周波関係の業務を担当しています。(ちなみに、私は大学でも高周波に関する研究をしていましたので、今の配属先を希望しました)

今回は、私が行った研修の一つである「高周波回路の設計・試作」についてお話しさせていただきます。

(WTIの新卒採用ページはこちら)

 

回路設計段階ではシミュレーションを活用し、所望の特性について目途をつけてから試作するというのが一般的になっていると思います。直流、あるいは低い周波数で設計する場合は、線路(電気配線)の抵抗や長さなどの要素を無視して集中定数素子のみの回路シミュレーションが可能です。

しかし、高周波(MHz帯などの高い周波数)の場合、これらの要素が無視できなくなってきます。また、使用する部品の公差も影響してきます。周波数が高いほど、その影響は顕著に現れるので回路設計の難易度は上がっていきます。

実際にシミュレーションと試作を比較してご説明します。図1が435 MHz周辺で通過するように設計したBPF(バンドパスフィルター)の回路図と実際に試作したBPFです。

 

図1. 設計したBPFの回路図と試作したBPF

 

シミュレーションではメーカーが提供している部品モデルを使用しているので、ある程度の損失、寄生成分が考慮された状態になっています。そして、図2がシミュレーション結果と試作したBPFを測定した結果をSパラメータで比較したものになります。

 

図2. シミュレーション結果と測定結果の比較

 

試作したBPFはシミュレーション結果よりも通過損失が大きくなり、通過周波数帯域も少し変わっているのがわかります。通過損失が大きくなったのは線路損失、そして周波数が変わったのは部品の公差が影響しているからです。

このようにシミュレーションと実際の回路では、特性にズレが生じることが多々あるため、それを考慮した設計が必要になってきます。

余談になりますが、今回のようにMHz帯の高周波フィルターはメーカーが販売している高周波用チップ部品で作ることができます。しかし、GHz帯になってくると使える部品が非常に高価、あるいは必要な素子の値がなかったりします。

そこで、基板のパターンをコイルやコンデンサにすることでフィルターを作成する場合があります。図3が基板パターンで作製するLPF(ローパスフィルター)の例です。

 

図3. 基板パターンによるLPF回路

 

以上、高周波回路の設計と試作についてお話しさせていただきました。

 

このように、WTIでは自身の専門分野を活かした仕事ができます。また、専攻が電気・電子でない方でも、しっかりと技術者として成長していける教育環境が整っています。専攻を問わず、当社の技術分野に興味がある方はぜひWTIをご検討いただけると幸いです。

 

【関連リンク】

《WTI採用関連ページ》

《WTI社内教育》

WTIブログ(教育関連)

■高周波・無線関連その他サービス紹介

 

WTIメールマガジンの配信(無料)

WTIエンジニアが携わる技術内容や日々の業務に関わる情報などを毎週お届けしているブログ記事は、メールマガジンでも購読できます。ブログのサンプル記事はこちら

WTIメールマガジンの登録・メールアドレス変更・配信停止はこちら

 

WTI動画リンクはこちら
WTIの技術、設備、設計/開発会社の使い方、採用関連など、幅広い内容を動画で解説しています。

 

 © 2005 Wave Technology Inc.