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周波数逓倍器の設計手法とは

皆さん、こんにちは。システム設計課の岡田です。

これまでのブログでは、高周波アンプの設計に関して色々と紹介してきました。
高周波アンプについて紹介したいことはまだまだあるのですが、今回は周波数逓倍器の設計についてお話しさせていただきます。

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周波数逓倍器とは、ある周波数を元にその整数倍の周波数の信号を発生させる回路のことで、高周波回路の設計では、所望の周波数を生成するために用いられることがあります。

周波数逓倍器は既製品を購入する方が安価であるなど、品質面においても安心な場合が多いですが、電力やスペース、或いは価格によってはディスクリート部品を使って周波数逓倍器を設計することが有用な場合もあります。
最近では各部品のSパラメーターがメーカーから提供されていますので、それらを使ってシミュレーション設計することも可能です。

ちなみに、周波数逓倍器は2倍波に変換するものをダブラー、3倍波に変換するものをトリプラーと呼ばれたりもします。

 

周波数逓倍器は高調波を利用して所望の周波数を生成するのですが、入力側は基本波に合わせ、出力側は必要な周波数(2倍波、或いは3倍波など)に合わせて整合回路を設計します。
この時、電力が一番高くなり易いのは入力源の基本波ですので、出力整合の中で基本波をできるだけ低減させることも大切なポイントになります。

 

図1:周波数逓倍器の出力スペクトルイメージ図

 

また、周波数逓倍器もアンプの仲間ですので必ず不要波が発生します。

図1のように必要な周波数が2倍波である場合は、基本波や3倍波、4倍波などが不要波になります。周波数変換後もできるだけ不要な周波数を除去したい時は、周波数逓倍器と合わせてBPF(バンドパスフィルター)を設計することが有効ですので、この場合は2倍波だけを通過させるBPFを設計することで、その他の不要波をカット(低減)することができます。

 

図2:BPFの通過特性イメージ図

 

BPFの設計ですが、所望する周波数の電力レベルに余裕があるのであれば、図2のように多段構成(LCの組み合わせが2ペア以上)が望ましいです。

フィルターは多段構成にすることで、通過させたい帯域のロスは増えますが、減衰させたい帯域をより減衰させることが可能になります。

なお、フィルターにはLPF(ローパスフィルター)、HPF(ハイパスフィルター)、LPFとHPFを組み合わせたBPF(バンドパスフィルター)、そしてBRF(バンドリジェクトフィルター)などがあります。

 

今回は周波数逓倍器の設計を簡単に紹介させていただきました。
次回はまた別のお話を紹介させていただければと思います。

今回はこの辺で失礼します。ありがとうございました。

 

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