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「パワー半導体」の信頼性試験について

みなさんこんにちは。
第二技術部の中松です。

パワー半導体(パワーデバイスやパワーモジュール)の信頼性試験について少しお話をしたいと思います。

パワー半導体の信頼性試験には、
 環境試験としては、温度サイクル試験などが、
 耐久試験としては、パワーサイクル試験、高温ゲートバイアス試験、高温逆バイアス試験など
があります。

この他にもSiCデバイスの信頼性試験において
 ① ゲートスイッチングバイアス試験
 ② ボディダイオード通電試験
 ③ dV/dt試験
 ④ 連続動作試験
などがあります。

最近お客様からいただくお問い合わせとして、①~④のSiCデバイスの試験に関する内容が増えていています。

その中で今回は、「①ゲートスイッチングバイアス試験」について、お話ししたいと思います。

 

パワー半導体デバイスのMOSFETやIGBTは、ゲート端子に電圧を印加することでゲート酸化膜(絶縁膜)とシリコンの界面にチャネルが形成されて動作します。

このため、MOSFET、IGBTでは、ゲート酸化膜の信頼性が非常に重要で、ゲート酸化膜が劣化して絶縁性が低下した場合、ゲート・ソース間のリーク電流が増えて所望のゲート電圧がかからず動作不良や故障が発生します。

そこで、ゲート酸化膜の劣化を確認するための信頼性試験として、ゲート-ソース間に定電圧を印加して特性変化や故障を確認する高温ゲートバイアス試験(HTGB)があります。試験としては、高温の試験環境で規定のゲート電圧をDCで印加し続けます。

これに対して、ゲートスイッチングバイアス試験は、ゲート電圧をパルスで印加して試験を行います。パワー半導体(MOSFET,IGBTデバイス)は、スイッチ素子で使用するため実使用での信頼性の確認となります。

下図が、ゲートスイッチングバイアス試験の回路例です。

 

 

この試験回路を見ただけだと、ゲートドライバを準備すれば、すぐにでも試験できそうですが、実は、試験条件の要望も様々ですぐに試験開始とはいかないものなのです。

試験条件には、下記のように様々な要望があります。

  • 立ち上がり時間、立ち上がり時間を20~30 ns程度で試験したい
  • 高い周波数(500 kHz)で試験したい
  • 高電圧(ゲート電圧±50 V)で試験したい
  • 高い温度(175 ℃)で試験したい 
  • 多い数量(22台)で試験したい

例えば、立ち上がり時間を早くするためのゲートドライバを設計するためには、ゲート・ソース間に電流をいかに多く流すか、配線インダクタンスをいかに小さくするかなどがポイントとなります。

また、高い周波数で動作させる場合、ゲートドライバの部品が発熱することがあり、部品の選定、冷却方法の検討などが必要となります。

 

このように試験条件によって、ゲートドライバの設計や試験環境の構築が必要となりそのノウハウを当社は有しております。

当社及びパートナー会社で各種信頼性試験に対応しておりますので、お困りの際は是非ご相談ください。

 

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