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交流回路のコイルとコンデンサは電力消費しない?

こんにちは。高周波機器設計課の平岡です。

皆さんは、交流回路と聞いてどのように感じますか?
私は初めてこの言葉を聞いた時は、ただなんとなく電圧の大きさや向きが時間と共に変化し、それに合わせて流れる電流も変化するのでなんとなく難しいという感覚でした。交流回路がなぜ難しく感じるかといえば、位相が変化するからで、交流回路のコイルやコンデンサは、この位相の変化によって直流回路とは動作が異なります。

それでは、交流回路に抵抗、コイル、コンデンサを接続した場合の各々の素子の動作について見ていこうと思います。

 

1.抵抗だけ接続した交流回路の場合

抵抗に流れる電流は、瞬間ごとに抵抗に加わる電圧Eを抵抗Rで割った電流が流れます。したがって、電圧の変化に応じて電流の大きさも変化します。
瞬間ごとの電力は電圧と電流の積になるから図1のように電源の周波数と同じ周波数で変化し、どの瞬間も必ずプラスとなります。電力は電源から負荷に伝わり、負荷から電源に逆戻りはしません。
なぜかというと、抵抗は瞬間ごとに電力消費してしまうからです。

 

図1.負荷に抵抗を接続した場合の電圧、電流、電力の振る舞い

 

2.コイルだけ接続した交流回路の場合

電圧と電流は、図2のように、電流が電圧より位相が90度遅れます。
電力は、電圧と電流の積になり電源の周波数の2倍の周波数で変化します。

これは抵抗を接続した場合と同じで、プラスの電力は電源から負荷へ伝わりますがマイナスの部分の電力は逆に負荷から電源側に戻ってしまいます。しかし、プラスの電力とマイナスの電力の面積は等しいのでお互いが打ち消しあってしまい電力は負荷に伝わらないことになり電力消費しないことになります。

 

図2.負荷にコイルを接続したと場合の電圧、電流、電力の振る舞い

 

3.コンデンサだけ接続した交流回路の場合

基本的な現象は2項と同じですが、図3のように電流は電圧より90度進みます。この場合もプラスの電力とマイナスの電力の面積は等しいので互いが打ち消しあってしまいますので電力は負荷に伝わらないことになりますのでこの場合も電力消費しないことになります。

 

図3.負荷にコンデンサを接続したと場合の電圧、電流、電力の振る舞い

 

ということで、交流回路では抵抗、コイル、コンデンサの各々は特有の動作をすることがわかりましたね。

抵抗は電力消費しますが、コイルとコンデンサは電力を蓄えたり放出したりしてしまい電力消費はできないことになります。しかし実際は、コイルやコンデンサには電極などに寄生する抵抗成分がありますから電力消費はしますし発熱もします。

特に高出力のパワーアンプの回路設計を行う場合は、コイルやコンデンサの発熱を抑えながら回路設計が必要となります。

 

当社には、高周波回路設計の経験が豊富なエンジニアおります。無線機器や高周波回路の設計でお困りのことがあれば、お気軽にお問合せください。

 

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