みなさん、こんにちは
パワーデバイス設計課の中松です。
今回のブログでは、ダイオードのせん頭サージ電流(IFSM)についてお話ししたいと思います。
IFSMは、図1のように商用周波数(50Hz or 60Hz)の正弦半波1サイクルでの最大許容電流値です。
図1 IFSMの波形
IFSMは電源投入時の突入電流(サージ電流)に対する耐量の指標となります。ここで突入電流が発生する一例を考えてみましょう。図2に一般的なPFC(力率改善)回路を示します。
図2 PFC回路
VINはAC入力(商用電源)ですが、スイッチをOFFからONにした際、破線の経路でバイパスダイオードD1を通り、出力コンデンサに充電する経路で突入電流が流れます。そのため、D1には、突入電流の最大値よりも高いIFSMが必要です。
D1を設けず、DoutにIFSMが高いダイオードを選定すればよいのではないか?と思われるかもしれませんが、Doutはスイッチング動作する部分なので、一番優先されるスペックはIFSMではなく、逆回復特性が優れている(リカバリ損失が少ない)ことになります。
そのため、突入電流対策としては、IFSMが大きいD1を別途、設けることが一般的です。また、D1に突入電流をバイパスさせるために、D1のVFはDoutのVFよりも低いダイオードを選定します。
WTIではダイオードのIFSM印加試験を実施することが可能です(~20Aの試験実績があります)。デバイス開発等で評価が必要であれば、ぜひお声がけください。
【関連リンク】
- パワーモジュール評価サービス
- 電源(パワエレ)
- カーブトレーサ自動測定システム
- パワーサイクル試験
- WTIの技術講座
- 集合講座(会議室で講師がご解説します)
- オンデマンド講座(講座の動画にて学習できます)
- ライブ配信講座(ライブ配信にて講師がご解説します)
- パワーエレクトロニクス講座(集合講座)
- パワーデバイスの基礎講座(オンデマンド講座)
- パワーデバイスの基礎講座(ライブ配信講座)
- 電子回路の基礎講座PLUS(2日間コース)
- EMC基礎講座
- 技術者教育サービス
WTIブログもご覧ください
- 「パワー半導体」のスイッチング評価は難しい? ~その1~
- 「パワー半導体」のスイッチング評価は難しい? ~その2~
- パワーMOSFETのアバランシェ試験とは ~その1~
- パワーMOSFETのアバランシェ試験とは ~その2~
- パワーMOSFETのアバランシェ試験とは ~その3~
- パワーデバイスの短絡試験について
- 「パワー半導体」スイッチング評価の電流測定
- 「パワーデバイスの基礎講座」のご紹介
- パワーエレクトロニクス講座 新大阪で開催しています!
- CMOS[低耐圧MOSFET]とパワー半導体との違い
- パワー半導体の評価は安全が第一
- SiCデバイスを使って電源を高効率化してみました
- 電源設計技術者が見つからない時代 だから自社で育成する!
- パワーエレクトロニクスって、どういうもの?
- いまさらなんですが、SiCって何がいいのでしょうか?
WTIメールマガジンの配信(無料)
WTIエンジニアが携わる技術内容や日々の業務に関わる情報などを毎週お届けしているブログ記事は、メールマガジンでも購読できます。ブログのサンプル記事はこちら
WTIメールマガジンの登録・メールアドレス変更・配信停止はこちら
WTIの技術、設備、設計/開発会社の使い方、採用関連など、幅広い内容を動画で解説しています。