皆さんこんにちは。東京事業所パッケージ設計課の矢野です。
今年最初のプログで『半導体パッケージの組み立てに必要なもの』~プリント基板設計編~を紹介しましたが、今回はICの電源電圧安定化に必要なチップコンデンサ(以下 コンデンサ)の実装に関して、基板設計の観点からご紹介させていただきます。
コンデンサは抵抗と同じく重要な受動部品であり、電源電圧が不安定な場合でも電荷を蓄えることで安定した電圧供給を可能とするなど、能動部品のICを正しく動かすために大切な部品です。
電源電圧変動についてもう少し詳しく見てみましょう。
ICチップ内の回路が高速に動作すると電力消費により電源電圧が変動して回路動作に影響します。この影響を低減するために半導体パッケージ基板上にコンデンサを配置することがあり、特に半導体パッケージの中でも高機能向けパッケージに分類されるFC-BGA(Flip-Chip Ball Grid Array)などで採用されます。
ただし、構造的な制約(図1)から基板上のどこにでも配置できるわけではありません。
① ICチップの周辺にはチップを固定する樹脂(アンダーフィル)がはみ出しているので、ICチップから数mmの範囲はコンデンサを配置できません。
② ICチップの発熱対策として金属の放熱板を付ける場合は、放熱板の絞り加工部やテーパー加工部に高さ方向が干渉しないように実装ズレを考慮して配置する必要があります。
図1 放熱板付き半導体パッケージの断面図
上記の制約以外に実装面の配線密度や2層目の配線と電源の干渉回避なども考慮するポイントがあるため、コンデンサに許される配置領域は意外に狭くなります。
電源安定化の要求は高まっており、多い時にはコンデンサを10個近く配置することもあります。基板設計の難易度は増しますが、電源特性向上・安定化のため高機能向けパッケージでは必要になるケースがあります。
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