みなさんこんにちは。
3回目の登場となります電源設計課の清水です。
前回に続き、太陽光発電に使われるパワーコンディショナ(パワコン)に求められる機能を紹介しています。
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前回は出力制御機能について紹介しました(前回のブログはこちら)が、今回は、電圧フリッカ対策としての無効電力発振抑制機能について紹介します。
まず、はじめに『電圧フリッカ』について説明します。
フリッカとは、『flicker:ちらつき、点滅する様子、または機能』を意味し、電圧フリッカとは、系統(発電所との電線路)の電圧が短時間に繰り返し変化することです。
この電圧フリッカが発生することにより、家庭などの照明が明るくなったり、暗くなったりを繰り返す現象やTV画面のちらつきなどの現象が発生します。
この現象を総じて『電圧フリッカ現象』または、『フリッカ現象』と呼ばれています。
1.パワコンとフリッカ現象の関係性
これまでフリッカ現象が発生する主要因は、工場などで使用されるアーク炉や溶接機などが電力を大量に使用することにより電流が急変し、系統の電圧が変動することで発生することがほとんどでした。(図1参照)
しかし近年では太陽光発電の普及により、系統に数多くのパワコンが接続された状態になっております。そのパワコンの保護機能の一つである『無効電力注入』という機能がフリッカ現象の発生に繋がっていると言われております。(図2参照)
そのため、JEMA(日本電機工業会)では、フリッカ対策が継続的に検討されておりますが、パワコンを開発するメーカにおいても、事前にフリッカ発生を抑えられるよう対策が求められています。
図1.フリッカ現象発生の要因(従来)
図2.フリッカ現象発生の要因(近年)
2.無効電力発振抑制機能
『無効電力注入』は、パワコンの保護機能のため(厳密には単独運転防止機能を働かせるため)に必要不可欠な機能であり、無効電力の注入自体を無くすことはできません。そのため、近年のパワコン開発においては、無効電力発振抑制機能の搭載が求められております。
主に、無効電力発振抑制機能は、2つの監視機能から成り立っています。
a.無効電力発振予兆検出機能
1つ目は、『無効電力発振予兆検出機能』とよばれる機能です。
系統の周波数変化を監視し、無効電力の注入を一時的に停止させる機能です。
(この状態を“能動機能待機状態”とよびます)
この機能は、系統の周波数変化の度合いに合わせてさらに外乱検知1と外乱検知2に分かれております。
図3. 無効電力発振予兆検出機能
b.単独運転発生予兆検出機能
2つ目は、『単独運転発生予兆検出機能』とよばれる機能です。
系統の電圧高調波成分を監視し、無効電力の注入を再開させ、単独運転の検出が可能な状態にする機能です。(この状態を“能動機能通常状態”とよびます)
図4. 単独運転発生予兆検出機能
これら2つの監視機能を使い分け、状況に応じて無効電力の注入の有無を切り替えることでフリッカの発生を抑えるようにするのが無効電力発振抑制機能です。
現在の無効電力発振抑制機能は、注入の有無の切り替えを行うものが主流のようですが、先に説明しましたJEMA(日本電機工業会)では、発振の予兆検知時に現在の発電量に応じて、無効電力の注入量をコントロールする機能の搭載が検討されており、今後、各パワコンメーカへ対策の要求があるかもしれません。
以上簡単ですが、無効電力抑制機能についての紹介でした。
パワコンの評価でお困りの方がおられましたら、お気軽にお問い合わせください。
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