みなさん、こんにちは。営業部の藤岡です。
当社は、半導体を応用した電気/電子機器を設計する会社で、マイコンボードの回路設計/基板設計やファームウェアもお客様から頻繁に開発のご依頼を頂戴しております。
ところで、みなさん、
マイコンが誤動作することをご存じでしょうか?
今回は、マイコンの誤動作要因とその対策についてお話しいたします。
電子機器の開発関係者であれば、長時間の動作試験をしていたら、いつの間にか動作がおかしくなっていたという経験をお持ちではないでしょうか?
もちろん、ファームウェア自体にバグが見つかれば、開発者が修正して対応を行えるのですが、バグがなくてもマイコンが誤動作することはあります。
マイコンが誤動作するのは、そのマイコンのデータシートに記載されている電気的特性(動作条件)が守られていないことに起因します。
主な誤動作の要因項目としては、
- 動作電源電圧
- 動作周波数
- 動作温度
があげられます。
これらの項目が正常動作範囲を超えた時に、予期しない誤動作となる可能性があります。
マイコンのデータシートには、それぞれの限界値が記載されていますが、その範囲を超えると、マイコンとしての動作保証はありません。
しかし、意外にその範囲で動作させるというのが簡単ではありません。
その大きな要因となるのがノイズや電磁波です。
電源電圧にノイズがのると電圧が変動します。
大きなノイズが入ると動作範囲を超える可能性がありますし、動作周波数も同じようにノイズで周波数が変化してしまう可能性があります。
温度範囲(特に高温が問題)に関しても、製品の使用温度を規定するしかありませんが、近年マイコン自体の消費電力が上がっており、熱対策が難しくなっております。
これらの対策としては、つぎのようなものが有効になります。
- マイコンの内部クロック、内部リセットを使用する(端子からのノイズを防止)。
- 電源電圧を電圧センサー注1でモニターし、誤動作する前に停止させる。
- 温度センサー注1で温度をモニターし、誤動作する前に停止させるか、マイコンの動作周波数を落として消費電力を下げるなどの工夫も必要です。
- ノイズに強い基板を設計する(マイコンの未使用端子処理やEMS注2試験等のフィードバックなど)。
注1.最近は電圧センサー、温度センサーを搭載しているマイコンもあります。
注2.EMS:Electromagnetic Susceptibility
また、実際に誤動作してしまった場合は、ウォッチドックタイマー(WDT)が有効な手段になります。ただし、WDTを過信してはいけません。WDTが効かない誤動作に陥る可能性もあり、その場合はマイコンの外付け回路で対策します。自動車用のマイコンボードなどは、外付けWDTを搭載しているものもあります。
これをやっていれば大丈夫というような対策は無く、一つひとつの積み重ねが誤動作の可能性を低減することになりますが、可能性は残るので誤動作も想定した設計も必要です。
すべてはお伝えしきれませんでしたが、ご参考になりましたでしょうか?
当社には、マイコン応用技術の高いスキルを持ったエンジニアが多数在籍しております。さらに、ノイズ対策や熱対策の専門知識を持ったエンジニアも在籍しており、信頼性の高い製品作りに貢献させていただいております。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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