みなさんこんにちは。高周波機器設計課の升野です。
みなさんは家電量販店などでWi-Fiルーターを見たときに「Wi-Fi 6」といった文字を見かけたことはないでしょうか?
一言でWi-Fiといっても、周波数帯や変調方式の違いによっていくつかの規格が存在しており、Wi-Fi 6とはその規格の一つです。
Wi-Fi 6など他のWi-Fiの通信規格に関してはWi-Fiの通信規格の話をご参照ください。
今回は、Wi-Fiの通信規格の一種である「Wi-Fi 6E」について、「Wi-Fi 6」と比較しながらお話ししたいと思います。(当社の技適代行サービスはこちら)
■「Wi-Fi 6E」とは?
「Wi-Fi 6E」とは近年の主流となっている「Wi-Fi 6」の拡張版となる規格です。6EのEは、「拡張された」を意味する「Extended」から来ています。これまでのWi-Fi規格では2.4GHz帯と5GHz帯を利用していますが、Wi-Fi 6Eではこれらの周波数帯に加えて新たに6GHz帯が追加されます。(図1参照)
図 1 Wi-Fi 6Eの周波数帯
■「Wi-Fi 6E」と「Wi-Fi 6」の違い
① ネットワークの安定性向上
Wi-Fi 6Eは技術的にはWi-Fi 6と同じですが、6GHz帯が利用可能になることでより安定した通信が可能となります。
Wi-Fi 6を含めた既存のWi-Fi 規格で利用している2.4GHz、5GHz帯では周波数帯域幅がそれぞれ80MHz、400MHzと狭いため、チャネルの重複によるパフォーマンスの低下が発生していました。しかし、6 GHz帯は利用可能な周波数帯域幅が約1.2GHz(5925MHz~7125MHz)もあるうえに、利用する無線通信はWi-Fi 6Eのみであるため、多くのデバイスが利用してもチャネルが重複することなくネットワークの混雑が大幅に改善されます。
② 通信速度の高速化
Wi-Fi 6Eでは、Wi-Fi 6以上の高速通信と、より多くのデバイスへの同時通信が可能となります。
理論上の最大通信速度はWi-Fi 6、Wi-Fi 6Eともに同じ値(9.6Gbps)であり、Wi-Fi 6でも最大160MHzの帯域幅を使用して通信することができます。
しかし、5GHz帯は周波数帯が狭く、160MHz幅のチャネルを最大で利用できないうえに、レーダー等他の無線電波の影響を受けやすいため最大通信速度をだすことができていませんでした。
この課題を解決するため、Wi-Fi 6Eでは6GHz帯の追加によってチャネル数が増加しています。フルスペックでの利用が可能となった場合、80MHzの帯域幅では、160MHzの帯域幅では7本の通信チャネルを新たに利用することができます。(図2参照)これによって、他の無線通信が存在しない周波数帯域で160MHzを利用し、その性能を十分に発揮することができます。
図2 Wi-Fi 6Eで追加されたチャネル配置
今後、Wi-Fi 6Eが普及していくことで、8K動画やVR、ARといった高速データ伝送が求められるサービスも、より快適に利用することができます。
■ おわりに
今回は、Wi-Fi 6Eについてお話させていただきました。いかがだったでしょうか?
弊社では、通信規格の知識や高周波回路設計の経験が豊富なエンジニアおります。無線機器や高周波回路の設計でお困りのことがあれば、お気軽にお声がけください。
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