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「パワー半導体」スイッチング評価の電流測定

みなさんこんにちは。
第二技術部の中松です。

今回は、パワー半導体(パワーデバイス単体やパワーモジュール)のスイッチング評価における電流測定について少しお話をしたいと思います。

パワー半導体のスイッチング評価に関するこれまでのブログは下記をご参照ください。

「パワー半導体」のスイッチング評価は難しい? ~その1~
「パワー半導体」のスイッチング評価は難しい? ~その2~

 

パワー半導体のスイッチング評価の電流測定には、絶縁可能な電流センサを用います。
絶縁可能な電流センサが必要な理由はハーフブリッジ回路でハイサイド側の電流を測定する場合、オシロスコープ経由でGNDに接続されるためです。

下図にハーフブリッジ回路におけるローサイドスイッチング時の電流センサの取り付け箇所の例を示します。

この例では、ローサイド側のIGBTに流れる電流と、ハイサイド側のダイオードに流れる電流を測定します。

 

 

よく使用される絶縁型の電流センサとしてカレントトランス(CT)とロゴスキーコイルがあります。

それでは、カレントトランス(CT)とロゴスキーコイルでは何が違うのでしょうか?

カレントトランスとは、測定電流を巻線比に応じた2次電流に変換し、その2次電流をシャント抵抗で電圧に変換しオシロスコープで測定するものです。

ロゴスキーコイルとは、測定電流の周りに発生した磁界により空芯コイルに誘起された電圧を変換して測定するものです。
誘起された電圧は電流の時間変化(di/dt)として出力されるため積分器を通すことで比例した電圧が出力されます。その電圧をオシロスコープで測定します。
その際、積分器を通すことにより、時間の遅れが発生するため調整する必要があります。

 

カレントトランスとロゴスキーコイルの特徴をまとめてみました。

  カレントトランス ロゴスキーコイル
構成
長所
  • 絶縁測定が可能

    (ハイサイド側での測定可能)

  • 大電流測定が可能
  • クランプ式のため基板上の電流を測定する際は回路の切断は不要
    (回路インダクタンス小)
  • 絶縁測定が可能
    (ハイサイド側での測定可能)
  • 大電流測定が可能
短所
  • 基板上の電流を測定する際は回路を切断して挿入する必要がある。(回路インダクタンス大)
  • 磁界の影響を受けやすい
  • 積分器があるため時間遅れ(スキュー)の調整必要
  • 磁界の影響を受けやすい

 

この比較表からもそれぞれ長所と短所があることがわかりますよね。

ここで、プリント基板に、ハーフブリッジ回路を構成して電流を測定する場合を考えてみましょう。

パワー半導体とコンデンサ間の配線をできる限り小さくして回路インダクタンスを小さくしたいですよね。回路インダクタンスが小さくなれば、スイッチング動作時のサージ電圧やリンギングが小さくなり、精度よく測定できます。

カレントトランスの場合、基板の配線を切断してカレントトランスを入れる必要があるため、配線が長くなりインダクタンスが大きくなります。

これに対して、ロゴスキーコイルの場合は、基板の配線間に穴をあけてロゴスキーコイルをセットし、そこを通すだけなので配線は極力短くできインダクタンスを小さくすることができます。

但し、注意しないといけないのは、取り付ける箇所を素子に近づけすぎると、スイッチング時のノイズの影響を受けやすくなり、理想の波形にならない場合があったりします。
この場合もWTI独自の方法でノイズの影響を抑制することができます。

当たり前のことですが、使用する電流センサの特徴を把握しておくことは非常に大切なことです。

 

弊社では、パワーデバイスの測定技術のノウハウを有しておりますので、パワーデバイスの測定に関してお困りのときはお問い合わせいただければと思います。

 

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