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デバイスモデリングとは

みなさん、こんにちは。高周波機器設計課の井上(侑)です。

私は主に業務用無線機に用いられる高周波電力増幅器のシミュレーション用のデバイスモデルを作成しています。単にデバイスモデリングとも言います。

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■デバイスモデリングとは!

みなさんはデバイスモデリングという言葉を聞くとどのようなことをイメージされるでしょうか?
普段デバイスモデリングになじみがない方からするとどういったものかイメージしにくいかもしれません。ここでいうデバイスモデリングとは、あるデバイスの特性に対して、その特性に合うような計算モデル(計算式)を作成することを指します。

もう少し具体的に、デバイスではありませんが、加熱時間に対する水温のモデリングを例にお話しします。

図1の左側は加熱時間xに対して水の温度yをプロットしたものです。このプロットを見ると水の温度は加熱時間に対して比例的に増加しているように見えます。

そこで、図1の右側のようにy = ax + bという式に従うと仮定してやります。このaやbはいわゆる傾きと切片に相当しますので測定値から決めることができます。aとbが決まれば、加熱時間に対する水温のモデルの出来上がりです。途中仮定したy = ax + bという式を水温の計算モデル、aやbをモデルパラメータといいます。

このようにモデリングは、ある事象に対して、測定⇒計算モデルを仮定⇒パラメータの決定という手順を踏んで計算モデルを作成します。

 

図1 デバイスモデリングのイメージ

 

■高周波電力増幅器のデバイスモデリング

先程の例は水温のモデルの話でしたが、私が普段扱う高周波用のデバイス(MOSFET)についても計算モデルとパラメータが存在します。

MOSFETのモデルの主なパラメータはIV特性に関するものと、容量特性に関するものです。これらを実測結果から適切に決めることでデバイスの高周波の振る舞いを表現することができます。

では、これらのパラメータを決めるためにはどのような測定が必要でしょうか?

 

■パラメータを決めるための測定

MOSFETのパラメータを決めるためには、IV特性関連のものはIV特性から決めることができます。

「じゃあ容量関連のパラメータも容量特性から決めることができるんだ!」と思われる方がおられるかもしれませんね。実は容量特性からパラメータを決めた場合、MOSFET以外の周辺機器の寄生容量も含まれる可能性があるため、適切な方法ではありません。

そこで用いるのがSパラメータです。

Sパラメータの解説はこちら

Sパラメータはその性質から測定系や測定基板などのMOSFET以外の寄生容量を校正で排除しやすく、正確な容量を導くことができます。

きちんとしたデバイスモデルを作る第一歩は正確に特性を取得することですが、なかなか容易なことではなく、苦労されている方も多いのではないかと思います。

WTIはこういった高周波のデバイスモデリングの知見とともに、高周波・無線関連のデバイス開発や評価についても豊富な知識と経験があります。以下に関連リンクもご紹介していますので、ぜひご覧ください。

 

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