皆様、初めまして。入社4年目、第一技術部 高周波機器設計課の北林と申します。
よろしくお願いいたします。
私が担当する業務のひとつに、EOL対策(生産中止となる電子部品の代替品調査や置き換え)があります。
EOLになる部品の種類はさまざまで、用途に適した部品を選ぶには電子部品ごとの特徴を詳しく理解することが重要になってきます。私自身もまだまだ知らないことが多く、日々知見を深めながら対応を進めています。
今回は、デジタル回路には欠かせないクロックを生成する「水晶」を例にとって説明したいと思います。
(当社のEOL対応(生産中止・ディスコン)はこちら)
■ 水晶の種類と性能
クロックを生成する水晶には、主に「水晶振動子」と「水晶発振器」があります。振動子と発振器の違いについて簡単に説明するために、振動子と発振器の性能をいくつか例に挙げてみます。(表1)
表1.水晶振動子/水晶発振器 の比較
振動子(「発振子」とも言います)は部品の価格は安価ですが、使用するには発振回路の設計が必要になります。
発振器は発振回路を内蔵していて外部電源を入力するだけでクロックを出力してくれますが、振動子に対して高価でサイズも大きくなります。
このように振動子と発振器の特徴が異なるため、コストを抑える場合は振動子、環境の変化影響も含め高精度を求める場合は発振器といったように、使用する機器の要求仕様に合わせて使い分けることになります。
EOL対策では代替品と生産中止部品との性能比較を事前に行い、性能が同等以上になるか等を判断します。また性能の面以外にも、形状や電極寸法(パッケージ)が同一のものを選択することで、既存の基板をそのまま使用できるように部品を選定し、回路の変更規模を最小限に抑えます。
■ EOL対策の流れ
次にEOL対策の一連の流れを説明します。(図1)
- 代替品の選定:生産中止となる電子部品を調査し、回路の変更規模が最小限となるように、同等以上の性能、同一形状の代替部品を選定します。
- 設計変更:置き換え部品が使用されているモジュール等の部品表を更新します。周辺回路を変更する必要が出た場合は、回路図や基板の改版等も実施します。
- レビュー:再設計した回路に対し、妥当性の評価や問題点を技術者同士で洗い出します。
- 実装試作工程:机上設計を終えたら基板実装・試作を行い、各種性能について検証します。
図1.EOL対策の流れ(イメージ)
このように、製品の一部の部品を置き換えるだけでも、全体では多くの工数が必要となってしまいます。
今回は水晶振動子、水晶発振器を例に代替品の調査を紹介しましたが、代替品の選定は、EOL対策の重要な出発点です。
弊社には経験・知識が豊富な技術者たちが在籍しており、EOL対策は代替品の選定から、設計変更(PWB:プリント配線板 の設計)や製造工程(基板の製造、実装、検査)まで一貫して対応しています。
EOL対策のリソースが不足している、リソースを別の開発へ集中させたい、といったご要望がありましたら、WTIへ是非お問い合わせください。
WTIではEOL対策以外にも様々なサービスを展開しています。お困りごと、ご相談ごとなどがありましたら、お気軽にお問い合わせください。
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