みなさんこんにちは。構造設計課の瀬角です。
WTIでは熱設計サービスとして、部品温度の予測や放熱対策を提案しており、放熱対策のなかで換気は効果的な対策の1つです。
昨今、コロナ禍の生活において、オフィスや部屋の換気の重要性が増していますが、電子機器の換気も部屋の換気も根本の考え方は同じです。
そこで今回は、換気をする際に風の入口と出口を確保する方法を紹介します。
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【窓の開け方による換気】
窓を開けて換気をする際に、どの窓を開けるかで効果は大きく変わります。
図1は、部屋の外から窓に向かってそよ風(風速 1m/s)が吹いている想定での流体解析モデルです。
図1 流体解析モデルのイメージ
図2は、窓の開け方を変えたときの風速分布です。風を流すためには、入口だけでなく出口も確保する必要があります。
図2(a)のように窓を1つ開けるだけ、あるいは、図2(b)のように窓を2つ開けても同じ壁面の窓では、換気効果は小さくなります。また、窓同士が近い場合は窓がない側の空間には風が流れない可能性があります。部屋全体に風を流すためには、図2(c)のように異なる壁面の窓を開けることが重要です。
図2 窓を開けたときの風速分布(解析結果)
※赤色に近いほど風が吹いています
【扇風機による換気】
しかし、部屋の窓が1つだけであったり、風が吹いていない日の場合もあります。このときは屋内に扇風機等を置いて風の流れを作ります。
図3は、屋外に風が吹いておらず、屋内に扇風機(風速 中レベル3 m/s)を置いたと想定したときの解析モデルと解析結果です。扇風機の風を屋外に向けることで部屋を換気できます。
(今回のケースでは、扇風機を窓近くに置いて風を屋内に向けても屋内の空気が循環するだけで換気できません。しかし、人が出入りできる高さのある窓では、扇風機の風を屋内に向けても部屋を換気できます。このように、扇風機の向きだけで換気の良し悪しは判断できない点にも留意が必要です)
図3 扇風機を使った換気の解析
【熱設計での換気】
これらの換気の考え方は、電子機器の換気設計にも適用できます。入口用と出口用の換気口を設けるとともに、局所的に空冷放熱したい部品があれば、換気口位置で風路を調整するか、内部にファンを設置します。
熱設計での風路調整のイメージとして、風路調整前と風路調整後の熱解析結果をそれぞれ図4と図5に示します。換気スリットは単純に大きくするのではなく、適切な位置で換気スリット面積を絞ることで必要な箇所の風速を上げて部品温度を下げることができます。
図4 風路調整前の熱解析結果
図5 風路調整後の熱解析結果
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