みなさんはじめまして。
第一技術部 システム設計課の中村です。
よろしくお願いいたします。
私はEMI対策受託サービスを担当しておりますが、EMI(Electro Magnetic Interference)対策以外にもEMS(Electro Magnetic Susceptibility)対策の相談を受けることがあります。今回は、そのEMS試験についてお話しさせていただきます。
まず、EMSとは何かをご説明します。
EMSはイミュニティ(immunity)とも呼ばれ、電気機器が電気的ストレスにどの程度耐性を持っているかを示します。代表的な規格として、国際的な電気関係の標準基準規格を定めるIECが規定したIEC61000-4シリーズなどがあります。
IEC61000-4シリーズの試験名称を表 1に示します。
表 1 イミュニティ規格(IEC61000-4シリーズ)
IEC61000-4シリーズの試験をパスできなくても製品化はできますが、EMS耐性が低いと
“通信がノイズによって途切れる“
“ノイズによってプログラムが停止する“
という動作不良や機能低下が起こってしまうのです。
具体的なEMS試験の例として、私が以前に対策検討を実施したIEC61000-4-4(ファーストトランジェント・バースト試験)の概要を説明させていただきます。
「ファーストトランジェント・バースト試験」とは
- 主電源のスイッチやリレー接点が開く際に、電圧の過渡現象に起因した妨害波が起こります。この試験は、電源線や信号線を伝わってくる妨害波を模擬し、機器が誤動作しないかを評価する試験です。
試験レベルは表 2のようになります。また、試験イメージは図 1のようになります。
表 2 試験レベル
図 1 ファーストトランジェント・バースト試験イメージ
EMS対策検討の手順は、
- 電源線にお客様ご指定の電圧を印加し、誤動作の再現性を確認
- 対策検討部品を追加、その効果を確認
となります。
この製品の場合は、EMI対策(伝導ノイズ対策)も必要でしたので、EMI、EMSともに効果のあるフィルタを追加し、規格を満足するように対策しました。
以上、EMS試験「ファーストトランジェント・バースト試験」について簡単にご紹介させていただきました。
WTIでは、お客様のノイズに関する課題を解決するために、EMI試験に必要な設備を保有しており、それらを活用した「EMI対策検討受託サービス」をご提供しています。
また、社内外の試験機を使用し、EMS対策検討にも対応させていただいています。
ノイズ対策でお困りの場合は、是非お問い合わせください。
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