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「パワー半導体」のスイッチング評価は難しい? ~その2~

みなさんこんにちは。
第二技術部の張です。

前回のブログでは、パワー半導体のスイッチング評価において、測定環境が重要であることをお話ししました。今回も前回に引き続き測定環境に関する話をさせていただきます。

パワー半導体のスイッチング評価を行う測定環境を改善するために配線を見直すことがありますが、実は測定系の回路インダクタンスの大きさが定量的にわからないと改善は難しいのです。

ということで、今回は回路インダクタンスの大きさを定量的に確認する方法についてお話しします。

図1はIGBTモジュール測定回路例ですが、この図における回路インダクタンスとは、以下の3箇所に存在するインダクタンス成分のことを示します。

①コンデンサCの内部インダクタンス
②配線インダクタンス
③IGBTモジュール内のインダクタンス

◆ 回路インダクタンスの改善方法

インダクタンス成分の内、対策が可能なのは①と②ですので、この二つについて改善方法をご紹介します。

まず①については、コンデンサCは内部インダクタンスができる限り小さいものを選択します。次に②については、撚り線は極力用いずバスバー(bus bar)と呼ばれる棒状の金属を配線として使用し、かつ最短で配線することでインダクタンスをできる限り小さくします。こうすることで、モジュールそのものの特性がより正確に得られることになります。

 

 

◆ 回路インダクタンスの確認方法

一般的には、ターンオン、ターンオフ波形から回路インダクタンスを確認することができます。
ここでは、ターンオン波形から確認する方法についてお話しします。

ターンオン動作は、電流立ち上がりと電圧立ち下がりが重なるタイミングで確認します。その際に電圧立ち下がりの途中で電圧が一定になる箇所があります。
その立ち下がった電圧ΔVCEと電圧が一定になる時間Δtと、一定になる時間内に立ち上がった電流ΔICを測定することで、回路インダクタンス値を確認することができます。
その方法をご説明します。

まず電流とインダクタと電圧と時間の基本式を式(1)に示します。

 

 

式(1)より回路インダクタンスLを求める式 は、式(2)となります。

 

 

式(2)に測定した値ΔVCE、Δt、ΔIcを入れると回路インダクタンス値Lが求まります。

 

 

パワー半導体のスイッチング評価において、回路インダクタンスを測定することで、配線が特性に及ぼす影響などを把握することができるので、これを考慮してパワー半導体の正確な特性を確認することができます。
また、シミュレーションを行う際に、実測した回路インダクタンス値を使用することで実測波形に近い結果が得られます。

当社ではスイッチング評価のノウハウを持ったエンジニアがいますので、各種パワーデバイスの評価を必要とされる場合は、是非ご相談ください。

 

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