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バラスト電源の制御方法(定電流制御、定電力制御)

こんにちは。第二技術部電源設計課の渡部です。

みなさんバラスト電源というスイッチング電源をご存知でしょうか。車の前照灯や液晶プロジェクターなどの光源であるランプを安定な放電状態で点灯させる安定器のことをバラスト電源と呼びます。
一般的な定電圧あるいは定電流で制御を行う電源とは異なるので今回はバラスト電源制御の特徴について紹介させていただきます。

ランプを安定に点灯させるためには、各種ランプ毎の点灯特性を理解して、ランプの状態に合わせて電源出力を制御する必要があります。

図1に示すのは液晶プロジェクターに使われる超高圧水銀ランプの点灯特性例です。

 

図1 液晶プロジェクター用超高圧水銀ランプの点灯特性例

 

まず放電開始時は定電圧で制御を行い、イグナイタで数kVから数10kVのパルス電圧を重畳させます。ランプ内部で絶縁破壊が起きると、アーク放電に移行します。放電直後はランプ内の温度は低く高圧となっていないためランプ電圧は低くほぼショート状態となります。この時バラスト電源は、ランプ電極を傷めないよう突入電流の上限を抑えながら定電流制御に移ります。

超高圧水銀ランプは、点灯直後はアーク放電の消滅と再点弧が繰り返されることが多くグロー放電が現れたりするため、電極ダメージと電源自体の破損回避のために高速な制御が必要になります。

定電流でアーク放電が維持されると熱でランプ内部の水銀が蒸発してくるため、ランプ電圧が上昇していきます。規定電力に達すると、定電流から定電力制御に切り替えます。 

さらにランプ電圧の上昇とともに定電力となるよう電流を減少させ、やがてランプ電圧は安定してくるようになり、必要な輝度で発光するようになります。

ランプへの印可電圧は交流が多くフリッカー(ちらつき)や寿命の対策から周波数調整を点灯中に行うこともあり、ランプ電圧を読み取り定電力となるよう出力電流を制御することからマイコンが使用されます。プロジェクター本体とのやりとりにはマイコンの通信機能を使用します。従来はマイコンで目標電流値を算出し、アナログ電源コントロールICによりこの目標値と比較することでスイッチング動作を制御してきましたが、約10年前からは処理速度が向上してきた安価なDSPマイコンによりスイッチング動作自体も制御されるようになっています。

WTIにはランプだけでなくLED光源用電源、TV,オーディオ、複合機(コピー、プリンター,FAX)、センサー用電源など多くの特定用途の組込み電源設計の実績があります。負荷特性がよくわからないなど設計のハードルが高くお困りの際は、ぜひWTIにお問い合わせ下さい。

こうした組込み用電源は多出力であったり複雑なシーケンス要求があったり、スイッチング電源のさまざまな回路方式を組み合わせて構成する必要があります。このためアプリケーションに合わせた最適な回路方式を選ぶことが重要になってきます。しかし、設計された経験がなければそれぞれの回路方式の特性や、回路規模、部品点数などイメージしにくいかと思います。

WTIではいくつかの回路方式のデモボードの製作を計画しています。デモボードの現品を直接お客様に見ていただくことでそのイメージを持っていただき、実際に動かしてもらうことで電気的な動作や特性も体験していただき、ちょっと難しそうな電源をより身近に感じていただきたいと考えています。そちらについてもご興味がありましたらお問い合わせ下さい。

 

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