みなさんこんにちは。カスタム技術課の三谷です。
前回のブログでは、回路図上には見えない寄生成分(容量成分、誘導成分、抵抗成分)についてお話ししましたが、他にも重要な見えない要素があります。
それは「インピーダンス」です。
(当社のブログでも幾度か登場していますよね)
インピーダンスとは交流抵抗のことで、通常は単線50Ω,差動100Ωに規定されていることが多いです。(他にも色々ありますが。。。)
デバイス間接続でインピーダンスが整合されている場合は反射も少なく効率がよいですよね。
低周波回路の設計ではあまり気にされないかも知れませんが、実は意外と知らずに(?)インピーダンスコントロールされています。
今更かもしれませんが、ロー出しハイ受けという言葉があります。
これは低いインピーダンスから出力し高いインピーダンスで受け取るという事で、電力の損失はありますが信号は伝送されます。(逆だと信号も欠損されてしまいます)
FET等の半導体デバイスの入出力回路もロー出しハイ受けが多く、接続すると自然とロー出しハイ受けになっています。
もちろんインピーダンスが異なるので、反射によるオーバーシュートやリンギングが発生することがありますが、コンデンサやコイルを搭載して吸収していますよね。
高周波回路の設計ではインピーダンスは重大な問題になります。
デバイス間の接続において、インピーダンスが異なる場合、反射によるリンギングが発生し信号が正しく伝送されなくなります。
低周波回路のようにコンデンサやコイルで吸収させることが困難となりますので、高周波回路ではインピーダンスの整合が重要となります。
基板の配線やケーブルのインピーダンスは計算式で検討することができますが、基板のビアやコネクタ等の接合部ではどうでしょう?
配線自体のインピーダンスが整合されていても、ビアやコネクタ等の接合部で大きく狂っていては信号が正しく伝送されません。
他に回路図上に見えない要素として配線長があります。これも結構重要です。
低周波回路ではR,L,Cで、高周波回路ではインピーダンス,Sパラメータで検証されますが、低周波回路でも配線長が長ければインピーダンス,Sパラメータが必要な場合があり、高周波回路でも配線長が短ければR,L,Cで検証できるんですよね。
ICパッケージの構造や基板の設計ルールをリバース解析しているとこういった要素が幾度か見受けられます。
「差動回路なのに伝送線路が...?」
「高周波回路なのにインピーダンスが...?」
回路図上には寄生成分の表記はないですよね?
LT-spiceで作成した回路図の一例
LTspiceはLinear Technology Corporationの登録商標です。
回路図にない寄生インピーダンスもプロなら見抜くことができます!
WTIには、あらゆるジャンルのエンジニアが在籍しています。
お客様から具体的な要望がなくても、そこに必要とされる技術を把握し、ちゃんと考慮した設計ができるんですね。
興味をお持ちの方は是非一度ご連絡下さい。
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