みなさんはじめまして。カスタム技術課の三谷です。
よろしくお願いいたします。
回路図上にはコンデンサ、インダクタ、トランジスタ、ダイオード、抵抗などの電子部品が記載され、それぞれ、理想的な素子として扱われています。
しかし、現実の回路にはそれらの素子だけではなく、容量成分、誘導成分、抵抗成分などの寄生成分が存在し、様々な悪影響をもたらし、設計者の意図する動作の妨げとなります。
低周波回路での寄生成分は通常無視できますが、高周波回路においては重大な問題になります。
寄生成分とは、電子部品の内部や電子回路の物理的な構造に起因する、回路図上には見えない意図しない成分です。
では、寄生成分によりどのような現象が発生するか例をあげてみましょう。
①寄生容量(parasitic capacitance, stray capacitance)
プリント基板や配線ケーブルにおいて複数の導線が近接していると、それぞれの導線を電極とする微少な容量成分が寄生容量となります。
基板上のバスライン同士の距離や配線ケーブル同士の距離が近いと寄生容量による結合でクロストークが発生し誤動作を招きます。
また、ノイズや遅延を発生し、増幅回路においては出力側と入力側の帰還回路となり発振の原因にもなります。
②寄生インダクタンス(parasitic inductance)
寄生インダクタンスはプリント基板上や接続ケーブルにも発生します。
基本的には磁束が発生する箇所は全て寄生インダクタンスとなり、電流経路が長いほど増加します。
但し、電流経路が複数ある場合はその距離や電流の向き、周波数等により値が変化しますので、注意しなければいけません。
寄生インダクタンスは電源回路設計においてスイッチングノードのスパイクやリンギングを発生させます。
また、ICパッケージの電源・グラウンド間電圧変動の原因にもなります。
③寄生抵抗(parasitic resistance)
寄生抵抗はプリント基板の銅配線パターンや配線ケーブル自体に発生します。
十分低い周波数のときは純粋な抵抗値として扱えますが、高い周波数領域では表皮効果により値が変化しますので、注意しなければいけません。
長い配線は寄生抵抗の増加による伝送線路損失となって電流を流れ難くします。
もちろん、上記は一例でそれぞれが作用し、様々な動作を引き起こしますので、高周波回路での寄生成分は考慮しなければならない要素となります。
回路図上では動作するはずが実際にものを作ると「あれっ!?」といったことがありませんか?
WTIには寄生成分を熟知した回路設計が行えるエンジニアが多数在籍しており、また、CAD図面や構造図から3D化し寄生成分を抽出するシミュレーションが可能ですので、興味をお持ちの方は是非一度ご連絡下さい。
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