熱問題の対処には予防診断が必要! 2019年10月8日2019年10月8日 ohara.yuji みなさん はじめまして。第一技術部 構造設計課の瀬角です。 今回は、電子製品の熱設計に関して、熱問題の予防診断についてお話しします。 【熱シミュレーションについて】 私は、お客様の熱に関する問題を解決する業務に携わっています。 例えば、お客様が開発中の電子製品に対して、熱シミュレーションで熱問題を抽出し、改善提案を行わせていただいています。また、お客様の試作品が既にある場合には、その試作品をお借りして温度の実測・評価をさせていただくこともあります。 WTIの熱シミュレーション業務では、お客様から「開発製品に熱問題が発生しており、これを解決してほしい」というご依頼が多くあります。このような場合には既に実機があるため、実際の温度を測定することで熱シミュレーションの精度を向上して、より具体的な熱対策をご提案してきました。 【製品要求性能と熱問題】 ところが、最近の業務でこんなことがありました。 あるお客様の試作品の部品温度が上限をオーバーし放熱対策の検討が必要になりましたが、熱シミュレーションを基に対策案を検討しても、現状の構成では十分な放熱効果が得られないことが判明しました。 お客様の開発は既に終盤を迎えており、放熱対策を講じる設計余地が残っていませんでした。十分な対策を講じるためには、基本設計段階からの見直しが必要となり、結果的に製品コンセプトに関わる部分(製品サイズを大きくする、機能を制限する、冷却機構を変える等)まで設計手戻りすることになりました。 このような設計手戻りが発生する原因は、開発製品の放熱環境が厳しくなっている状況に、従来のような設計者の経験によるカンだけでは対処しきれないことにあります。 開発製品の要求性能は年々高まっており、製品をより薄く小さくしたり回路機能(通信機能等)の付加によって熱源が増加したりすることで熱的には厳しい状況になっています。よりぎりぎりの熱設計の状況では、設計序盤から熱問題を意識することが重要です。 設計序盤の熱設計として、大雑把な内容でも良いので、現状の設計でどのくらい温度上昇するか等の感触を事前に予測できることが重要です。 そこで、弊社では熱問題の有無や熱設計の難易度を設計序盤に把握する(熱問題の予防診断)サービスを提供することにいたしました。 【熱問題予防診断の内容】 予防診断のタイミングは設計序盤ですので、製品仕様のほとんどの項目は決まってないと思います。ここではお客様から筐体サイズ・消費電力をご提供頂くことで、筐体温度上昇を計算します。この計算結果と、環境温度・目標温度をもとに、およそのコンセプト成立可否や成立させるためのアドバイスをご回答することになります。 予防診断を受けていただくことで、お客様は今から開発する製品について熱設計の指針を立てることが可能です。 これによって、いざ試作品を作ったときに温度が許容値に全然入らず、製品コンセプトまで戻って再設計しなければならない・・・というような、最悪の手戻りの事態を防ぐことができます。 最後になりますが、熱でお困りごとがありましたら、お気軽に弊社宛お問合せください。 【関連リンク】 熱流体解析を用いた放熱対策 応力解析を用いた強度検証・対策 その他シミュレーション技術 機構設計(防水設計・小型化)の請負・受託 機構(筐体)の防水コンサルサービス 熱・応力解析コンサルサービス WTIブログ(シミュレーション関連) WTIブログ(機構・筐体関連) WTIメールマガジンの配信(無料) WTIエンジニアが携わる技術内容や日々の業務に関わる情報などを毎週お届けしているブログ記事は、メールマガジンでも購読できます。ブログのサンプル記事はこちら WTIメールマガジンの登録・メールアドレス変更・配信停止はこちら WTIの技術、設備、設計/開発会社の使い方、採用関連など、幅広い内容を動画で解説しています。 WTIブログ, シミュレーション, 機構・筐体