C=εS/d (1)
ここで、εは平行板間を絶縁する絶縁体の誘電率です。 式(1)は容量Cが以下の関係にあることを表しています。- 平行板の面積Sが大きければ大きいほど容量Cは大きい。
- 平行板の距離dが小さければ小さいほど容量Cは大きい。
- 平行板の間の誘電体(絶縁体)の誘電率εが大きいほど容量Cは大きい。
ε=ε0εr (2)
ここでε0 ≒ 8.85×10-12 [F/m] よって式(1)は、
C=ε0εrS/d (3)
最も小さい誘電率は真空の誘電率ε0です(空気の誘電率もほぼ真空と同じです)。つまり、どのような誘電体もε>ε0(εr>1)となるのです。 このことから、真空もしくは空気を挟んだ平行板コンデンサの間になんらかの絶縁体を挿入すると容量Cは増加する、ということを知っておいてください。 さてここで、図1について容量Cが1μFの平行板コンデンサがあるとします。以下のケースについて面積Sや距離dを求めてみましょう。(ε0 ≒ 8.85×10-12 [F/m]とする)Q1.平行板の間が空気(εr=1)で、d=1 mmのときのSは Q2.平行板の間が誘電体(εr=5000)で、S=1 m2のときのdは? Q3.平行板の間が誘電体(εr=5000)で、d=10 μmのときのSは?
Q1を求めると、S=dC/(εoεr)=(1×10-3)(1×10-6)/(8.85×10-12×1) ≒113 [m2] なんと、10 m四方の電極面積が必要になります。 次にQ2も求めてみましょう。
d=εoεrS/C=(8.85×10-12×5000×1)/(1×10-6) ≒0.0443 [m] 面積1 m四方の電極面積と比誘電率5000の誘電体で1 μFの容量を実現するためのdは4.4 cm必要です。 最後にQ3を求めてみましょう。
S=dC/(εoεr)=(10×10-6)(1×10-6)/(8.85×10-12×5000) ≒0.226×10-3[m2] 上記計算値のルートをとると約15 mm四方の面積があれば1 μFの容量を実現できることがわかります。Q1のときより圧倒的に小さな面積になりましたね。しかし、それでも15 mm四方のコンデンサになるんですね。 私達が使う代表的なコンデンサのセラミックコンデンサや電解コンデンサはこのように大きくはありませんね。 さて、どのような工夫をして小さなサイズのコンデンサを実現しているのでしょうか?次回のブログでは、このことについてコンデンサの種類別の構造や材料について検証し、そこからおおまかな特性や用途についてみなさんと一緒に考えてみたいと思います。 お楽しみに!
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