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Sパラメータとは?

みなさん初めまして。高周波設計第一課の藤井です。
どうぞよろしくお願いいたします。

高周波設計第一課はその名の通り高周波関連の業務を行っておりますが、当ブログでは今までに高周波の話は橘高さん、大塚さん、大植さんと登場していますので、私で四人目ということになります。

(当社の高周波(RF)の対応実績はこちら)

さて、橘高さんが前回のブログでインピーダンスの話をされていますが、その流れで今回は高周波回路の仕事をする上で避けて通れないSパラメータの話をしたいと思います。

電気回路では回路をブラックボックスとして考え、入力信号と出力信号の関係だけで回路の特性を表すことがあります。よく目にするものとしてはZパラメータやYパラメータなどがありますよね。高周波回路では同じ様に回路の特性を表すものとしてSパラメータがよく使われます。

Sパラメータはわかりやすく言うと『回路に入っていく電力と回路から出て行く電力 (正確には電力の平方根となる値) の関係を表したもの』です。
ZパラやYパラは電圧や電流の関係を表していますが、Sパラはなんで電圧や電流ではなくわざわざ電力なのか?という疑問がわきます。これは高周波になると電圧や電流を直接測定することが難しかったりするのですが、電力だと簡単に測定できるので電力であらわせば便利ということみたいです。

Sパラメータの詳細な説明は参考書等に詳しく記載がありますので割愛しますが、入力端子が1つ、出力端子が1つの2ポート回路を例にするとSパラメータはS11、S21、S12、S22の4つのパラメータになります。

S11は入力端子に入力した信号に対して入力端子で反射される信号の割合を示す入力反射係数、S22は出力端子に入力した信号に対して出力端子で反射される信号の割合を示す出力反射係数、S21は入力端子から出力端子への透過係数、S12は出力端子から入力端子への透過係数となります。

これだけだと漠然としていてわかりにくいので、私がこれまでよく扱ってきた高周波アンプでSパラメータをどのように活用しているのか説明してみます。

高周波アンプでは増幅したい信号を無駄なくトランジスタなどの増幅素子に入力したり、増幅素子から増幅した信号をうまく取り出すために、入力回路や出力回路で整合を取ることが必要で、いい感じに整合を取るということが高周波アンプの仕事ではとても重要です。(整合の詳細は大塚さんの前回のブログ「高周波回路の設計 ~整合とは~」をご覧ください)

整合がとれているかどうかはS11と22で表されていて、S11とS22が小さい、すなわち反射が小さいと整合が取れていることになり、増幅素子の本来もっている性能が引き出せるようになります。

また所望の利得が得られているかどうかはS21を見ればわかります。アナログ回路ではオシロで電圧波形などを見ていろんな確認をすると思いますが、高周波回路では電圧波形を直接みることができない代わりにSパラメータを見る、ということになるかと思います。

自分で設計した回路を試作してSパラメータを初めて測定するときはちょっとドキドキし、測定した結果が設計どおりできていることが分かったときにはとっても嬉しく、そうでないときは少し落胆しつつもSパラメータとにらめっこしながら回路を調整して整合が取れるようにし、なんとか性能を出す、ということをやっています。

なのでSパラメータは私たちにとても重要なもので、これまでずいぶんお世話になってきた というべきかもしれません。

今回は高周波回路によく出てくるSパラメータのお話をさせていただきました。当社には高周波のエンジニアも多数在籍しております。興味をお持ちでしたら、下記のリンクもご覧ください。

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