SPICEとは
SPICEとは Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis の略で、電子回路のアナログ動作をシミュレートするソフトウェアのことです。"Integrated Circuit Emphasis"とあるとおり当初集積回路向けのツールとして開発されましたが、次第に電子回路一般の設計・検証に使用されるようになりました。歴史
オリジナルのSPICEはカリフォルニア大学バークレー校で1973年に開発されたもので、ソフトへの入力は回路のネット接続を示すテキストファイル、出力も電圧値などを示したテキストファイル、というものでした。 オリジナルのSPICEはパブリックドメイン、つまりフリーソフトとして公開されたため、いろいろなベンダーが回路図入力機能、出力のグラフ化機能などを追加して、現在使われているいろいろなSPICEに進化してきました。SPICEでできること
DC解析:回路の直流的な動作をみる
回路の電圧、温度などを変化させ、回路の電圧、電流などの変化を見ることができます。 電圧のマージンが十分にあるか、温度に対して安定であるかなどを確認することができます。AC解析:回路の交流信号に対する応答をみる
回路への入力信号の周波数を変化させ、回路の電圧・位相の応答を見ることができます。 十分な周波数特性を持っているかを確認できます。トランジェント解析:回路の時間経過に対する動作を見る
回路の時間経過による応答波形を確認できます。入力信号として正弦波、矩形波のほか、さまざまな波形を設定可能です。 実際にSPICEを使った方はおわかりでしょうが、SPICEはとても便利です。 回路の動作概要をつかむだけなら出来合いの(デフォルトの)パラメータのまま、回路の改良をするうえで思いついたことを試してみる、動作がよくわからない回路を解析してみるなど、実務で発生する課題の確認・検討に大いに役立ちます。 回路を解析してみるなど、実務で発生する課題の確認・検討に大いに役立ちます。 回路をショートさせても、過電圧を掛けてしまっても壊れることはありません。安心していろいろ試すことができます。SPICEは使い方を覚えると回路設計をするうえで大きな武器となります。 一方で、SPICEは回路シミュレーションツールであるので、現実の回路とどの程度一致するのかが心配なところです。 たとえば、アナログ回路は部品の特性パラメータが多く、その値もさまざまであるため、回路の動作条件によっては(たとえばある程度周波数が高いなど)厳密なシミュレーションを行うのは難しい場合があります。 このようなケースでは、実回路の測定結果を部品特性パラメータへフィードバックして、シミュレーション精度を上げていくような取り組みが必要とされることもあります。 簡単にSPICEの紹介をいたしましたが、機会があればまた踏み込んだお話をしてみたいと思います。 【関連リンク】WTIメールマガジンの配信(無料)
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