みなさんこんにちは。WTI 機構設計課 課長の浦瀬です。
今日は、私の課で担当している熱解析(シミュレーション)についてお話します。
近年の製品は、小型化進展の一方で熱的問題が深刻化し続けており、当社においてもお客様からの熱解析に関するお問い合わせが増加傾向にあります。その内容は様々なものがありますが、今回は、熱解析には欠かせない半導体の熱抵抗について簡単に説明させていただきます。
(半導体パッケージの熱抵抗測定に関する詳細はこちら)
半導体の熱抵抗は、半導体ベンダーから提供される半導体の仕様書(データシート)の中に記載されていることが多いので、どのような定義がされているかを確認する必要があります。しかし、データシートに記載される熱抵抗の項目は、半導体ベンダーによって異なっており、この熱抵抗の示す意味を理解することが最初のハードルになると感じています。(ここに戸惑われるお客様が多いです)
<代表的な熱抵抗とその式>
θja = (Junction Temp. – Ambient Temp. ) / Power
θjc = (Junction Temp. – Case Temp. ) / Power
θjb = (Junction Temp. – Board Temp. ) / Power
ψjt = (Junction Temp. – Top case Temp.) / Power
熱抵抗とは、式に表す通り二点間の温度差を消費電力で割って求めたもので、二点中の一点を温度測定すれば、もう一点は式で温度予測が行える仕組みとなっています。
式を見てもわかる通り、簡単な式で構成されていますので理解し易く、難しさは感じないと思います。
しかし、実はここに落とし穴があります。それは、熱抵抗値は、定義する環境※1(基板サイズ・外部放熱部品など)によって値が大きく変化することです。つまり、設計中の製品の熱予測に半導体ベンダーが定義する熱抵抗が使えない可能性があるということになります。
※1:半導体ベンダーが規定する熱抵抗は、JEDEC規格の環境で求められることが多いです。
半導体ベンダーが定義する熱抵抗を活用した熱シミュレーションを行うには、一度半導体ベンダーが定義した環境で熱抵抗をフィッティングし、それを設計中の熱シミュレーションモデルに展開する必要があることになります。
ここまでご説明すると、「結構面倒くさいなぁー!」とお感じになるお客様は多いのではないでしょうか?
当社は、お客様の使用環境と半導体ベンダーが定義する熱抵抗フィッティングの双方に通じた熱解析(シミュレーション)を得意としていますので、そのようなときは、是非WTIを思い起こしていただければ幸いです。(まずは気軽にご相談ください。)
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