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パワーコンディショナの単独運転検出について

電源設計課の植村ですみなさんこんにちは。電源設計課の植村です。

今回は、最近はおなじみになってきましたパワーコンディショナ(以下パワコン)の機能についてご紹介させていただきます。

パワコンに求められる機能については、過去3回にわけてブログで紹介させていただいております。関連ブログとして合わせて紹介しておきますね。
 パワーコンディショナに求められる機能について(その1)
 パワーコンディショナに求められる機能について(その2)
 パワーコンディショナに求められる機能について(その3)

パワコンとは、主に太陽光発電などの直流の電力を家庭負荷で利用できる交流の電力に変換するインバータ装置のことです。

近年では、余った電力を蓄電池に貯めることができる製品や、電気自動車と電力をシェアできる製品なども出回ってきています。
製品にはその安全性を担保するために様々な保護機能が備わっていますが、今回はその中から単独運転の検出機能について紹介させていただきます。

◇単独運転とは?
パワコンは通常、系統(=電柱電線)に接続して使用されます。(図1)

図1:パワコンの運用
図1:パワコンの運用


 
何らかの要因で系統側に停電などの事故が発生した場合、本来であればパワコンは異常を検知し運転を停止する必要がありますが、パワコンと家庭内負荷そして系統の合流点(以下、連系点)の電力バランスが取れている状態の場合、パワコンが系統の異常を検知できずに電力を供給し続ける状態になってしまいます。この状態を単独運転と呼びます。(図2)

図2:単独運転状態
図2:単独運転状態

 

単独運転状態の場合、連系点に電圧が印加されている状態のため、系統側の事故を調査、修理しようとする作業員が感電してしまうなど、更なる事故を発生してしまう恐れがあります。このため、パワコンには単独運転状態を検出し運転を停止する機能が備わっており、パワコンの重要な機能の一つとなっています。
因みに、パワコンが停止しても太陽光パネルは発電している場合があります。系統側の事故が継続している場合、家庭内のみ電力を供給する自立出力を有している製品もあります。

◇単独運転検出機能
単独運転の検出には受動方式と能動方式の2種類があります。
各方式についても複数の仕組みがあるのですが、今回は一般的な仕組みについて簡単に紹介いたします。

●受動方式
一般的に受動方式というのは、系統側の周波数や電力の変化を検知して単独運転状態を判別する方式です。通常、連系点では大なり小なりの電力のやり取りがあり、この時に系統側に事故が発生、系統が連系点から切り離されると連系点に変化が生じます。この変化が規定レベル以上に達した時、単独運転状態にあると判断し、パワコンは運転を停止します。(図3)

図3:単独運転の検出(受動方式)
図3:単独運転の検出(受動方式)

 

但し、この方式には弱点があります。それは連系点の電力バランスが釣り合っていると、系統が切り離されても連系点に変化が発生せず異常を検知できない場合(不感帯)が存在するということです。
この弱点を補うために、能動方式が存在します。

●能動方式
能動方式は一般的には無効電力注入により行われています。これはパワコンが意図的に連系点に無効電力を注入することにより連系点に変化を与えようとする方法です。系統が正常につながっている場合は、パワコンが無効電力を注入しても系統がその変化を吸収しますので、連系点に変化は発生しません。一方で系統が切り離されている場合は、パワコンの注入した無効電力を吸収することができず、連系点に変化として現れます。この変化を異常として検出し、パワコンは運転を停止します。(図4)

図4:単独運転の検出(能動方式)
図4:単独運転の検出(能動方式)

整理すると、連系点の変化を受けて判断するのが受動方式。連系点に意図的に変化を与えて、その反応をもって判断するのが能動方式ということになります。

以上、簡単ですが、単独運転の検出機能についての紹介をさせていただきました。

今回はパワコンを例に機能紹介させていただきましたが、電源にかかわる評価はこの他にもたくさんあります。電源基板や電源を含めた製品開発など、何かお困りの方がおられましたらお気軽にお問い合わせください。

 

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