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表面実装型デバイスを使う高周波回路設計の注意点

高周波デバイス設計課の藤井です。

弊課は高周波デバイスの開発に携わっておりますが、今回は表面実装型のディスクリートデバイスを使う高周波回路を設計する際の注意点について、低雑音増幅器(LNA; Low Noise Amplifier)設計を例にお話しします。高周波(RF)・無線 設計受託はこちら

 

ディスクリートデバイスを用いたLNAの回路設計を実施する場合、まず使用するデバイスメーカーのホームページを参照して、Sパラメータとノイズパラメータを捜すのが、一般的ではないでしょうか。(ここでは増幅デバイスとしてGaAs HEMTを使う前提でお話しを進めます)

LNAの回路設計では、入手できたSパラメータとノイズパラメータから、高周波回路シミュレータや電磁界シミュレータなどを使用して電力整合と雑音整合をおこないます。電力整合と雑音整合の詳細に関しては、高周波回路の一般的な書籍にも記載がありますので、ここでは割愛させていただきます。

設計を進めるとき、後述するある注意点が欠落すると、設計した実ボードの評価において、得られた特性が回路シミュレーション結果と合わないことがあります。
こういう場合、実ボードのトライ&エラーで回路調整して性能を出すのもよいですが、設計業務の効率を考えれば、できるだけ回路調整なしで良い結果を出したいですよね。

さて、ある注意点とは、メーカーが供給するSパラメータとノイズパラメータを測定する時のソース接地回路の状態についてです。

表面実装型のLNAデバイスには、パラメータを取得する評価ボードの基板レイアウトと基材情報がホームページ上に記載されているものがありますが、提供されるパラメータが評価ボードのソース接地回路を含んだものになっている場合があります。

また、最近ではソース接地回路をde-embedding (測定値に含まれるパッドなどの影響を取り除くこと)した状態のパラメータを提供しているメーカーもあるようです。

したがってメーカーが提供しているデバイスパラメータがどういう状態のものなのか、よく確認して設計作業を行う必要がありますね。

図1はソース接地回路を無視した等価回路、図2はソース接地回路を考慮した等価回路、図3はそれぞれの回路での利得のシミュレーション結果です。ソース接地回路は小さなランドパッドとビアだけなのですが、これだけでも特性が変化しています。

 

 

設計においてもソース接地回路を正確に考慮して回路シミュレーションを行う必要があることがわかりますね。これはLNAに限らず表面実装型のデバイスを使った高周波回路設計で注意するべき点です。

高周波ではこのような細かい点をしっかり押さえることが、よりよい設計につながることが多くあります。

WTIには高周波の経験が豊富なエンジニアが在籍していますので、お困りごとがございましたらお気軽にご相談ください。

 

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