みなさんこんにちは。ソリューション営業課の塩谷です。
WTIでは製品含有化学物質調査の代行サービスを行っています。おかげさまで多くのお客様から、お問い合わせや見積依頼をいただいています。
お客様と製品含有化学物質調査の商談をする中で、「紛争鉱物調査はできますか?」と聞かれることがあります。少し物々しい名前ですが、これも製品含有化学物質調査のひとつなのです。今回はこの紛争鉱物調査についてお話しします。
まず、紛争鉱物とは何か?ですが、具体的には次の4金属になります。それぞれの金属の頭文字が、3つのTと1つのGなので3TGと呼ばれています。
Tantalum(タンタル)、Tin(スズ)、 Tungsten(タングステン)、 Gold(⾦)
この3TGの産地であるアフリカのコンゴ民主共和国では、20年以上もの間、紛争がつづいており、3TGは紛争の資金源になる可能性が指摘されており、この資金源を断ち切ることを目的に紛争鉱物規制が制定されました。2010年に成立した米国金融規制改革法により、米国上場企業には、紛争地域由来の紛争鉱物(3TG)についての情報開示が義務付けられています。
一方、企業の取り組みについて、グローバルではRMI(Responsible Minerals Initiative)、日本では電子情報技術産業協会(JEITA)の「責任ある鉱物調達検討会』などが取り組みを推進しています。
実際の調査では完成品メーカーが自社製品に3TGを含有しているか否か、また含有している場合はその原産地域を調査することになります。ただ完成品メーカーが直接、鉱物の原産地域を調査するのは非常に困難です。
RMAP(Responsible Minerals Assurance Process)は、鉱物サプライチェーンの中で比較的少数の製錬・精製業者を監視して、川上のトレーダー、鉱山(原産地域)を把握する調査プログラムです。このことにより、完成品メーカーは、部品メーカー、素材メーカーを経て製錬・精製業者まで遡れば3TGの原産地域を把握できることになります。
完成品メーカーから製錬・精製業者までの調査はCMRT(Conflict Minerals Reporting Template)という統一フォームを使って行います。CMRTは、「3TGを意図的に添加しているか?」、「3TGの原産地が紛争地域や高リスク地域に該当していないか?」などの質問に対し回答する形式になっています。
CMRTを使った調査の流れについて説明します。調査発動元(最終顧客)は1次サプライヤーに調査を依頼します。1次サプライヤーは更に川上の2次サプライヤーに、2次サプライヤーは更に川上の・・・といった具合に依頼を繰り返し、最終的には製錬・精製業者に調査依頼がたどりつきます。
回答は逆に製錬・精製業者から川下に向かって伝達されます。製錬・精製業者から回答を受けたサプライヤーは、製錬・精製業者の回答をもとに自社のCMRTを作成し、更に川下のサプライヤーに回答します。これを繰り返し最終的には調査発動元に回答が届きます。調査発動元はサプライヤーから提示されたCMRTを確認し、自社製品に3TGが含有されているか否かと、含有されている場合は3TGの原産地域を把握することができます。
日本ではまだ、紛争鉱物に関する規制はありませんが、JEITAが「責任ある鉱物調達」という活動を推進しており、紛争鉱物への関心が高まってきています。そのため日本企業でも積極的に紛争鉱物調査を進めるケースが増えてきています。今後は紛争鉱物調査も製品含有化学物質の調査のひとつとして、取引先から要求されることが増えてくると考えられます。
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