皆さん、初めまして、入社3年目の蘇明明です。
私は中国出身、大学の専攻は情報システムでしたが、“電気回路設計”に憧れ、この会社に就職しました。
現在は、電源設計課に所属しており、日々電気回路の勉強しながら、業務に携わっている毎日です。
(WTIの電源設計サービスはこちらをご参照ください)
そんな私の現在の業務は、『パワーコンディショナ (以下、パワコン)の評価』です。
一口に『パワコンの評価』と言っても、様々な評価がありますが、今回は直近の業務で実施したノイズ対策に関する内容について、お話をしたいと思います。
なお、『パワコンの評価』の詳細については、当ブログで私の先輩が説明しておりますので、気になる方は、下記(↓↓↓)をご覧くださいね。
【~JET認証・変換効率確認・定格試験・雷サージなどなど、種々の試験があります~】
■ノイズ発生の要因
パワコンは、太陽光などの自然エネルギーを商用電力に変換して、商用系統へ接続する機器です。パワコンの内部では、数百Vの高電圧や数十Aの大電流をスイッチングしており、また数十 ~ 数百kHzの周波数で駆動しているため、ノイズの発生源となります。
図1.パワコンのノイズ発生個所
このノイズは、周辺機器(照明、TV、洗濯機などの電気/電子機器)の動作に影響を与えることから、EMC規格で規定されるスペックを満足させる必要があります。パワコンについては、JET認証(※1)の取得が必要ですので、その規格に従って対応しております。
※1 財団法人電気安全環境研究所(JET)が定める安全性基準への適合認証
パワコンに限った話ではありませんが、電気製品の開発において、検討に多くの時間と労力を要すのが、この“ノイズ”に対する対策 になります。
今回、担当した機種においても、特に『エミッション規格』(※2)に該当する『伝導ノイズ』の対応に、大変苦労しました。
※2 エミッション規格(ノイズ発生源の抑制規格)
・伝導ノイズ(雑音端子電圧)
・放射ノイズ(放射雑音) など
ノイズ対策は、スイッチングの最適化やスナバ回路の調整、基板のパターンやトランス・コイルの寄生成分最適化など、数多くの設計要素で対策を行います。ですが、全てのノイズを抑えることは難しく、製品の試験をしたとき規格に入らないことがあります。製品として仕上がりつつある途中段階で設計を大幅に見直すというのは難しく、後付での対策を求められることがあります。
そんな中で、ノイズ対策に使用される一例として、 “コア(コイルのコア材)”を用いての対策があります。今回の機種においても、いくつかの“コア”を使用し『伝導ノイズ』の対策を実施しました。このノイズ対策部品“コア”について、下記で簡単に説明します。
■ノイズ対策部品 “コア(コイルのコア材)”について
“コア”と言っても、使用材料、用途、形状など、様々な種類が存在します。
今回は、その中で最も一般的に使用される“フェライトコア”を例にあげ、その特性を説明いたします。
図2.コアの外観例
<原理>
様々な種類や形状がありますが、何れもコアに導線を巻いて使用します。
導線を巻くことにより、導線とフェライトコアが、インダクタと同じ構成となり、高周波になるほど、高いインピーダンスを持つことになります。
また、導線を巻く回数を増やすことで、更に高いインピーダンスを構成できます。
図3は、一般的なフェライトコアの周波数-インピーダンス特性の一例です。
図3.周波数-インピーダンス特性例
この特性から、今回『伝導ノイズ』で対策したい 40MHz以上のノイズに対し、インピーダンスがより高い“部品B”を用いて対策を実施しました。
今回は、パワコンのノイズ対策として、“コア”を例に挙げ、説明しましたが、ノイズ対策については、必ずしも“コア”を使用するだけでは十分な対策とはならないこともあります。
前述していますとおり、部品の配置や基板上のパターン、また使用部品の組み合わせや最適化により変化し、かつ最終製品の状態でないとノイズ確認ができないなど、課題は山積だと思います。
そんな中、WTIにはノイズ対策の経験豊富な技術者が多数おります。
製品状態での対策はもちろんのこと、経験値に基づき設計の段階から考慮することも可能です。また、当社保有の電波暗室も活用して、必要に応じてお客様ともご一緒に対策を考える環境も整っております。
ノイズ対策で、お困りのことがございましたらお気軽にご相談下さい。
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