みなさん、はじめまして。システム設計課の栗坂です。
入社6年目で、現在はアナログ・デジタル機器の設計や評価を担当しております。どうぞ、よろしくお願いいたします。
今回は私が経験してきた業務の中から静電気放電(ESD:Electro-Static Discharge)に関する信頼性試験や保護設計についてお話しします。
寒くて空気の乾燥する冬、車や玄関のドアを開けようとした瞬間のパチッ!という静電気による痛みをみなさんもご経験されたことがあると思います。
私は帯電しやすい体質なのか1日数回は被害を被っています(笑)。
この静電気は人だけでなくモノ同士の接触や機器自体の帯電による放電もあります。
静電気は数キロボルトの高電圧を瞬間的に発生させ、電子機器にとっても大敵であるため、静電気への耐性が必要となります。これらの耐性を確認するため、それぞれ静電気が発生する状況をモデル化した信頼性試験の規格が定められており、目的に応じた規格を選択して信頼性試験を実施しています。
表 1に信頼性試験のモデルを示します。
表 1 信頼性試験モデル
また、試験対象となる機器が自動車に搭載されるかそうではないかによって大きく二つの試験規格が使い分けられます。試験方法はほとんど同様ですが、規格内で規定されている最大放電電圧が異なる点に注意が必要となります。
表 2に試験規格の概要を示します。
表 2 試験規格概要
ESD試験はESD発生器(ESDガンとも呼ばれる)を用いて、ESDが発生しうる場所すべてに対して放電電圧を印可します。
図 1に装置例と印可対象箇所を示します。
図 1 装置例と印可対象箇所例
(印可箇所の指定理由)
①~⑨:持ち運びや取り付け時などに接触する箇所
⑩~⑫:使用時に接触する箇所
⑬~⑮:ケーブルなどのつけ外しで接触する箇所
回路構成に着目すると⑩~⑮からのESDは信号線を介して直接ICに損傷を与える可能性があります。そこで、ESDによる損傷対策として、コネクタピンからICピンまでの間にESD保護部品を挿入しESDをグランドに逃がす方法があります。このESD保護部品については回路や筐体の条件によって適切に選定する必要がありますが、保護性能と部品コストはトレードオフの関係である場合が多いです。そこで、闇雲に高性能な保護部品を選定するのではなく、アナログ・デジタル回路設計の技術力を活かした選定が必要となってきます。
以上、ESDに関する信頼性試験や保護設計についてお話しさせていただきました。
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