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代替コンデンサが特性不良のもとになる!? ~高周波アンプ整合回路のEOL対応はコンデンサの周波数特性も考慮した設計が必要です~

みなさんこんにちは、高周波機器設計課の井上です。私は主に業務用無線機に用いられる高周波電力増幅器の整合回路設計を行っております。

今回はコンデンサの生産中止(EOL:End Of Life)で経験したことを紹介いたします。

 

■近年のEOL状況について

業務用無線機の高周波電力増幅器は販売開始から7~10年程度の継続供給を想定して開発しております。しかし近年は、開発完了後にコンデンサやガラスエポキシ基板などの部材がEOLや工程変更申請の連絡を受けて仕様変更を行うことが多くなっております。

例えば、使用していたコンデンサがEOLとなり、代替品は今まで使用していたものと同じサイズで耐圧が50Vから250Vと高耐圧の製品になるとの連絡がありました。

「容量が一緒なのでそのまま置き換えができる!! 」と考えがちですが、高周波機器はそう簡単にいくものではありません。

 

■代替コンデンサが特性不良のもとになる!?

図は同じ容量のコンデンサで、コンデンサの耐圧が異なるものの周波数特性を比較したグラフです。横軸は周波数、縦軸はコンデンサが持つ内部抵抗です。

例えば400~470MHzで動作する無線機を想定した場合、この図を見ると400~470MHzの範囲ではコンデンサの違いによる影響は小さいと考えられますが、高調波領域では差が見られます。

50V耐圧の現行品は3倍波の1200~1410 MHzで抵抗値のピークがありますが、250V耐圧品は4倍波の1600~1880MHzに抵抗のピークが移っています。

このグラフから高調波の特性に影響が出ることは想定できますが、それだけではなく高調波の影響で400-470MHzの出力電力や電力効率にも影響を与えることがあります。

 

図. コンデンサ内部抵抗の周波数特性(50 V品/250 V品)

 

また、コンデンサは整合回路に複数使用しているため、コンデンサを置き換えることで発生する特性ズレが積み重なって結果的に無線機の特性NGとなることもあります。

そのため、コンデンサの置き換え評価を行う際は、変更前後のSパラメータデータをもとに高周波回路のシミュレーションで特性の変動を予測してから実際の特性評価を行います。

 

以上、高周波アンプの整合回路におけるコンデンサのEOL対応を例に、代替部品がそのまま使えない例をご紹介いたしました。この例のように、部品の変更に対してあらかじめ特性が変動するだろうと予測したとしても、実際に特性ズレを考慮して高周波電力増幅器の整合回路の調整を行うことは容易ではありません。想定していたより多く時間がかかり困っているということはありませんでしょうか?

WTIはEOLの経験が豊富であり、臨機応変に対応させていただいております。

また、部品の集約化や小型化によるコストダウンの実績もあります。EOLに困ったときは一度問い合わせいただければお力になれることがあると自負しております。

 

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