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「パワー半導体」のスイッチング評価は難しい? ~その1~

みなさんこんにちは。
第二技術部の張です。

今回は、パワーデバイス、パワーモジュールなどのパワー半導体のスイッチング評価についてお話します。

パワー半導体のスイッチング評価は何のために行うのでしょうか?

理想のスイッチング動作は、ON/OFFする際に電流と電圧の遅れ時間がない状態、つまり電力損失の発生がないことですよね。

でも、パワーデバイスのスイッチング動作時は、どうしても遅れ時間が発生します。

また、配線の影響などでサージ電圧が発生し、定格以上になると破壊することもあります。

このように、パワー半導体のスイッチング評価は、スイッチング時間(立ち上がり、立ち下がり)やサージ電圧、電力損失などの実使用に必要な特性を確認するために行うのです。

それでは、スイッチング評価はどのような方法で行えばいいのでしょうか?
下図に示すIGBTモジュールの回路例と測定環境例を用いてご説明します。

 

 

  1. DC電源にコンデンサを並列接続します。これは、パワーモジュールの電流定格は数百Aと非常に大きい場合が多いのに対し、数百AのDC電源がなかなかないためであり、コンデンサに蓄えた電荷を短時間に放出することでDC電源に替えるものです。スイッチング回数はコンデンサ電荷量の範囲内に限られます。
  2. 素子は上下直列に接続するハーフブリッジ回路構成で行います。
    パワーモジュールは、ハーフブリッジ回路が1つの2in1製品から3つの6in1など、さまざまな製品があります。
  3. ハイサイド側IGBTのコレクタとコンデンサ間の接続およびローサイド側IGBTのエミッタとコンデンサ間の接続は、インダクタンスを小さくするためバスバー(銅板)を使用します。
  4. 負荷は、L負荷を使用します。R負荷の場合、ダイオードのリカバリー特性(回復時間や電力損失など)の確認ができないためです。
  5. パワーモジュールのゲート端子にゲートドライバを接続します。
  6. ゲートドライバの入力に、発振器を接続して、矩形波(2発以上)を入力します。
  7. ゲート・エミッタ間電圧VGEとコレクタ・エミッタ間電圧VCE、エミッタ電流をオシロスコープで観測するとスイッチング時間や電力損失を確認することができます。

以上がスイッチング評価の概略です。

高速に大電流をスイッチングするこの評価では、ターンオフ波形のサージ電圧が大きく振動したりすることがあり製品の実力と測定環境の影響の区別が難しいことがよくあります。
例えば、線材などの長い配線で接続した場合、インダクタンスが大きくなりターンオフ波形のサージ電圧が大きくなります。
そのため、バスバーで接続することでインダクタンスをできる限り小さくします。

このように、スイッチング評価は、測定環境が重要であり、ただ回路どおりに接続しただけではうまくいかないものなのです。

当社ではスイッチング評価のノウハウを持ったエンジニアがいますので、各種パワーデバイスの評価を必要とされる場合は、是非ご相談ください。

 

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