今回は、インピーダンスのお話です。
前回扱っていたマイクロストリップ線路を用いた伝送線路(左下)について、インピーダンスで表現した図を右下に示しておこう。 この伝送線路は下記3つのインピーダンスで構成されておる。 ①ドライバの出力インピーダンスZO ②マイクロストリップ線路の特性インピーダンスZ ③レシーバの入力インピーダンスZi
ZO、ZにZi と、求めるものが3つもある上に、難しそう。。。 どうやって求めるんですか??
まず最初に、ドライバ内部はC-MOS構成であることを前提に話そう。 ①ドライバの出力インピーダンスZOは、C-MOSゆえにHighレベル(P-MOS)とLowレベル(N-MOS)の2つの出力インピーダンス(ZOHとZOL)がある。
出力インピーダンスの求め方として、部品メーカのホームページにアップロード(下図参照)されているIBIS(Input/Output Buffer Information Specification の略)モデルを使った算出方法を紹介しよう。 IBISモデルは、デジタル回路の伝送線路解析(シグナルインテグリティ)に使うための基礎となるデータなのじゃ。この基礎データには「プルアップ」と「プルダウン」の測定項目があり、そこからドライバの出力インピーダンスを算出することができるのじゃ。
IBISモデルのファイルからドライバーの出力インピーダンスを求める方法は、初耳だわ。どのように使えばよいですか?
- まずIBISモデルのファイルのうち、「 Pulldown 」の項目を探し出し、縦軸を電流[mA]横軸を電圧[V]で示したグラフを作ってほしいのじゃ。このグラフは、Low出力を担っているN-MOS側の出力特性を示しておるのじゃ。
- グラフから電圧が0V付近の線形性が得られている領域での⊿V/⊿Iの関係が出力インピーダンスZOLになるのじゃ。
昇平博士、下のようなグラフが得られました。 ZOL は、12.2Ωです。
次にIBISモデルのファイルから、「 Pullup 」の項目を探し出し、縦軸を電流[mA]横軸を電圧[V]したグラフを求めてほしいのじゃ。このグラフは、High出力を担っているP-MOS側の出力特性を示しておるのじゃ。
昇平博士、PullupのグラフですがPulldownの右肩上がりの傾きに対して、右肩下がりになっています。
なみりん、よく気がついたね。 ●Pullupで記載されているIBISモデルの電圧は電源電圧VCCの時に0Vと決めておるので電源電圧VCC(ここでは3.3V) - IBISモデルの電圧値 にて電圧変換した後に、グラフにするのじゃ。 ●グラフにおいて電圧が3.3V付近の線形性が得られている領域での⊿V/⊿Iの関係が出力インピーダンスZOHになるのじゃ。
昇平博士、下のようなグラフが得られました。 ZOH は、15.09 Ωです。
よしっ、これでC-MOSドライバの出力インピーダンスを求めることができたぞ。 次は、マイクロストリップ線路の特性インピーダンスZを求めなきゃならんな。 続きは次回にしよう。
次回も、引き続きインピーダンスのお話です。