テクノシェルパのサービスを提供する、株式会社Wave Technology(WTI)の石川です。
今日は、熱・応力解析のお話をさせていただきます。
熱・応力解析の適用目的として馴染のあるものは、製品に何らかのトラブルが発生した際に、原因を究明するために急ぎ実施するという使い方ではないでしょうか。
製品トラブルには、動作不良や仕様未達、物理的な破壊、などがありますが、通常、トラブルが起こってから解析を行うことが多いと思います。 そして解析の結果を基に問題の原因のアタリをつけ、次にその対策案を考え、対策効果をシミュレーションで確認した上で採用可否を判定します。
このようにすることで、トラブル対策がスピーディになり、時間を要する試行錯誤のループから逃れることができます。 実際、当社の熱・応力解析コンサルサービスもこのようにお使いいただくことが多いのです。
それでは、熱・応力解析に、トラブルシュート以外の使い方はあるものでしょうか。
例えば、フロントローディング的な使い方は、どうでしょうか。 フロントローディングとは、設計の初期段階で設計検討や問題点の改善を図ることにより、早い段階で設計品質を高めることを狙う手法です。
設計の自由度は開発工程が後に進めば進むほど小さくなりますので、開発後半で解析して問題点が見つかった場合は、打てる手段の数が少なくなります。また、量産間近の解析と対策は、大幅な設計変更が強いられる場合があります。
その逆に、構想設計段階など開発の初期ステージで、熱・応力解析を適用することにより、開発の方向の妥当性を見極めておけば、あとになって大幅な見直しを迫られる可能性が小さくなります。
また、フロントローディングのもう一つのメリットとして、解析結果を図示するなどして直感的に捉えやすく見える化しておくことで、製品の改善に対するアイデアが出やすくなったり、設計作業が特定の設計者に属人化してしまうことを回避する効果も期待できます。
このようなメリットのあるフロントローディング設計ですが、トラブルが何も確認されていない構想設計の段階で、いきなり本格的な解析を行うのを躊躇されるかもしれません。
そのような場合、いきなり本格的な解析を行わずに、まずは簡略化したモデルを構成し、それを使って短時間の解析を行って、ざっくりと問題の有無を確認するのがよいのです。
そのような「ざっくり解析」には、そのための簡易シミュレータが必要ですし、どこまで単純化するかについてもある程度のノウハウが必要です。
もし、ご自身でそのようなノウハウをお持ちでなければ、解析サービスやプチ・コンサルティングを提供している企業に相談されるのも良いでしょう。 廉価で結果が得られますので、会社の許可も得られやすいと思います。
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