みなさんこんにちは。テクノシェルパ技術コンサルタントの森です。
テクノシェルパの技術者教育では、初めて電子回路を学ぶ方でも実践的な回路技術を身につけてもらえるよう、当社が社内教育をとおして蓄積した「独自の教育メソッド」を惜しみなく注ぎ込んでいます。
今回のブログでは回路を学ぶ上でのちょっとしたコツをご紹介させていただきます。
(シリーズとして順次アップしていきます) このブログをとおして、前述しました「独自の教育メソッド」の一部を実感していただきたいと思います。
それでは本題に入ります。
回路のもっとも基本的な法則と言えば・・・・?
そう!オームの法則ですね。
V=
IR の式は、中学や高校でも学ぶ、もっとも身近な電気回路の公式ですよね。そして、エレクトロニクス分野で仕事をしていく上では常識とも言える公式です。
早速オームの法則を使って回路を見てみましょう。
図1は電源
V1と抵抗
R1とスイッチSWだけで構成した回路です。この回路において電流
Iを求めてみましょう。
V1は5 Vの直流電源,
R1は100 Ωの抵抗です。また、SWは図1ではONの状態になっています。
オームの法則から、電流
I は
I=
V/
R で求められますので、
よって、この回路には50 mAの電流が流れることがわかります。そして、このときの抵抗の両端の電圧
Vabは5 V、SWの両端電圧
Vbcは0 Vであることもおわかりいただけると思います。(図2)
SWの両端電圧
Vbcが0 Vなのは、SWが抵抗値0 Ωの理想スイッチとして考えているからです。つまり、抵抗値が0 Ωの回路にオームの法則にあてはめて、
Vbc=0.05 [A]•0 [Ω]=0 [V]
ということです。
次回のブログでは、図1の回路のスイッチがOFFの状態について考えてみたいと思います。
<ここがポイント!>
本文中では、スイッチSWが導通抵抗0 Ωの理想スイッチとして考えましたが、実際のスイッチ(ここでは機械式接点のスイッチとします)は導通抵抗0 Ωということはなく、通常数m~数十mΩ程度です。
この導通抵抗は、回路電流に比例して電圧が発生しますので、スイッチが回路のどこに使われそこにどの程度の電流が流れるのかによって、無視できるレベルか無視できないのかをきちんと確認しておく必要があります。
ついでにもう一つご説明しておきます。
同じく本文中では回路の配線の抵抗値を0 Ωとして扱っていますが、実際には単位長さあたりの配線抵抗が存在します。たとえば、直径0.3 mmの銅線が1 mの長さであると約1.2 Ωの抵抗値になります。配線が長くなれば、長さに比例して抵抗値が増加しますので回路電流が小さくてもその影響を無視できなくなります。(さらに付け加えると、抵抗以外にも等価的にコイルやコンデンサ成分も存在するのですが、ここでは割愛させていただきます。)