信号伝送線路上にノイズの伝導を見つけた場合は、EMI対策としてフィルタを検討することがよくある。
フィルタですか?
そうじゃ。 私が学生時代の電気回路・伝送回路の世界では(波を濾すと書いて)濾波器と呼ばれていたんじゃが、今はフィルタと呼ぶのが一般的じゃ。まあそれだけフィルタは古くから使われておる。
昇平博士、フィルタってどんな目的で使うんですか?
送信側から受信側へ信号を伝送するときに、必要な信号成分のみ伝送し、不要な信号(ノイズ)を除去したいときにフィルタを使うのじゃ。 今回はコイル(インダクタ)を例に説明しよう。 なみりん、コイルのインピーダンスZはどのように表現するかい?
そうじゃな。 インダクタ1個でも2通りのつなぎ方があり、それぞれ全く真逆な動作をするのじゃ。
えっ、もっと具体的に教えてください。
はい、昇平博士。 周波数が低いとレシーバ側に信号が伝わりますが、周波数が高くなるとインダクタのインピーダンスが高くなるのでレシーバ側には信号が届きません。
そうじゃな。周波数の低い信号のみ通過するのでローパスフィルタ(Low-Pass Filter)と呼ぶわけだね。 これは信号の反射状態(Sパラメータ)で見ても同じことが言えるんだ。 周波数が低いときは負荷(レシーバ)が見えるけど、周波数が徐々に高くなると軌跡はレシーバから離れてやがて開放状態になるんじゃ。