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半導体パッケージの実装信頼性評価に向けて ~破断個所を特定するデイジーチェーンサンプル~

みなさんこんにちは。WTI構造技術課の松前です。

半導体パッケージの実装技術、および実装信頼性技術の開発に携わっています。主にBGAと呼ばれるタイプのパッケージが対象です。
(半導体パッケージについてはこちら、パッケージの種類についてはこちらのブログ記事をご参照ください)

今回のブログでは半導体パッケージの実装信頼性評価に使われるデイジーチェーンサンプルについてお話しさせていただきます。

BGAタイプの半導体パッケージは大まかに言うと、

  • 心臓部であるSiチップ
  • ベースとなるパッケージ基板
  • 実装基板と接続するための端子(はんだボール)

から成り立っており、パッケージを樹脂モールドでコーティングするタイプやSiチップに放熱板を付けるタイプもあります(図1)。

図1. BGAタイプの半導体パッケージ

 

半導体パッケージはお客様(車載機器、モバイル機器などのセットメーカー様)の基板に実装されます(図2)。したがってお客様の製造工程で半導体パッケージと基板が確実に接続されること(実装性)、セット製品として使用される中で接続が維持されること(実装信頼性)は非常に重要です。

図2. 基板に実装した半導体パッケージ

 

実装信頼性の評価をするためには温度サイクル試験や機械強度試験などを行います。その時に使われるのが「デイジーチェーン」と呼ばれる配線設計をした評価用のサンプルです。

デイジーチェーンとは、電子機器における用語としては複数のデバイスなどを数珠つなぎにすることを意味します。半導体パッケージの実装信頼性評価に使うデイジーチェーンサンプルは、パッケージ基板と評価用の実装基板と両者をつなぐ端子(はんだボール)が連続した回路となるように配線設計されます(図3)。

図3. デイジーチェーン配線

 

IN側とOUT側を抵抗モニターに接続して連続モニタリングできる状態にして試験を実施します(図4)。
試験中に端子が破壊されると抵抗値が変動する(大抵はオープン=無限大になる)ため、どの時点で接続が維持できなくなったかが判明するわけです。

図4. 試験状態を連続モニタリング

 

通常は図5のように、INとOUTだけでなく、途中で配線を引き出し、評価用基板にテストパッドを用意しておきます。試験終了後にテスタでテストパッド間の導通を確認することで、どの端子が破断したのかを判定することができます。

図5. 試験状態を連続モニタリング

 

デイジーチェーンサンプルはあくまで評価のためのサンプルなので、実際の製品とは別に、専用の設計およびサンプル作製が必要となります。しかし実装信頼性をきちんと評価するためには非常に有効な手法です。

ただし、このデイジーチェーンサンプルの製作にあたって、ピン数が多いパッケージは全てのピンを確認することは出来ないことがほとんどです。そこでどのピンに着目するべきかをシミュレーションで事前に確認してからデイジーチェーンのパターンを配線する必要があります。
(ちなみに、弊社ではこのデイジーチェーンの信頼性試験中の導通状態をリアルタイムにモニターする導体抵抗モニタリングシステムのご提供もしています。)

今回は、半導体パッケージの実装信頼性評価に使われるデイジーチェーンサンプルについてお伝えしましたが、WTIでは、これまでの設計・評価で得た経験や知見を基にお客様のいろいろなご相談に対応することが可能です。

※お客様からの相談事例

  • 半導体パッケージの信頼性を評価するための基板を作成したい。
  • 半導体パッケージの実装信頼性をシミュレーションで確認したい。
  • 市販にない多数同時評価できるシステムを検討したい。

このような事例でお困りのお客様に是非ともご活用頂きたいサービスとなっております。
上記以外にも受託可能なサービスもありますので、お気軽にご相談ください。

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