みなさん こんにちは。応用機器設計第一部設計第一課の木戸です。
電子機器には欠かせない基板ですが、長年、回路設計を担当され、基板を常に扱っている方でも、意外と基板データの構成(種類)をご存知ない場合もあるようなので簡単にご紹介します。
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昨今、セラミックコンデンサの生産中止(EOL、ディスコン)に伴い、部品サイズ変更の基板改版が必要となるケースが多々あります。
たとえば、10年、20年前の昔々の基板で、当時の設計者も居ないが、生産の都合上、どうしても基板改版が必要となるケースがあったとします。
『まあ、現行の基板データもあるし、チップサイズの変更だけだから、ちょちょいのちょい!で終わるだろう!』
と、軽い気持ちで臨んだところ、基板屋さんから
『この基板データはガーバーデータなので・・・、改版設計に時間かかります。』
と言われ、想定していたスケジュールが切り替え生産の間際で破綻し、困り果てた経験をされた方も居られると思います。
基板データの1つであるガーバーデータは、基板製造用のデータ(もう少し詳しく言うと、基板製造メーカーに渡すデータ)で、実際に基板設計に用いるCADデータではないのです。
ガーバーデータの中身はコード化されたデータ(ASCII)なのですが、CADに取り込むことができても、単なる図柄(絵)で、設計で使う回路(ネット)情報や部品情報を持たないデータなのです。
ですので、ガーバーデータ自体で基板改版しようとすると、図柄(絵)をひとつひとつ修正する必要があり、現実的ではありません。
基板の設計から製造についてのおよその流れを下図に示します。
回路接続情報(ネットリスト)と部品情報(フットパターン)を基板設計CADに取り込み、基板設計後、ガーバーデータに変換します。基板メーカーにガーバーデータを渡し、基板メーカーではCAM編集後(製造工場のルールに合わせる作業)、基板を製造します。
基板設計CADは各社から販売されていますが、基本的に異なるCAD同士の互換性はありません。また、実は同じ形式のガーバーデータ(例えば、拡張ガーバーのRX274X)でも拡張子も基板CADで異なり、他のCADから出力したガーバーデータは読み込めない場合もあります。(基板製造メーカーでは読み込みは可能)
主な基板設計CADのCAD名称と拡張子
CAD名称(メーカー) | 基板CADデータの 拡張子 |
ガーバーデータの 拡張子 |
CR5000BD(図研) | .pcb/.rul | .phl/.phd |
Allegro(Cadence) | .brd | .art |
Pads(Mentor) | .pcb | .gdo |
現行のCADデータを元に基板改版するのが一番良いのですが、ガーバーデータしかない場合や異なるCADの場合、まずは設計するCADに対応した基板CADデータを作製する必要があります。
以上のように、回路設計の方でも、ほんの少し基板データの構成(種類)を知っておくだけで、想定外の日程遅れを防げますので、是非、この機会に現行基板データの種類を確認してみてください。
WTIでは類似機種の開発や生産中止部品(EOL、ディスコン)対応など、既存の基板を元に基板改版が必要な場合、ガーバーデータから弊社CADデータ(CR5000BD)に変換して、設計対応することが可能です。
今回のように
- 基板データはガーバーデータしかない。
- 特性を考慮して、できるだけ現行基板と基板パターンを合わせたい。
など、既存の設計資産を流用した設計が必要な場合も是非、お問い合わせください。
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