磁性シートは保持力が小さく、透磁率の大きい材料(軟磁性体とよぶ)を使っており、1mm以下の薄いシート状で作られておる。 磁性シートをEMI対策で使用する場合は、上の3つの手段のうち何番になるかな?
③の「ノイズの輻射源を断つ。」 ですね。 昇平博士、磁性シートってどのような特性があるんですか?
磁性シートには大きく分けて2つの磁性特性がある。 まず1つ目は磁束を減衰させる特性、2つ目は磁束を集束する特性があるのじゃ。 この磁性特性を複素透磁率(μ)と呼んでおり、磁束を減衰させる特性を虚部透磁率(μ”)で表現し、磁束を集束する特性は実部透磁率(μ’)で表現するのじゃ。
「複素透磁率」ってなんだか難しそう。。。 でもどうやって使うんですか?
EMI対策で使用する場合は、磁束を減衰させる特性μ”に注目するのじゃ。 対策したい周波数帯域上でμ”が大きいシートを選定するのじゃ。 選定したシートを輻射源(例えばFPC:Flexible printed circuits)に貼ると ノイズを抑制する効果が期待できるのじゃ。
薄いシート状なのでFPCのような曲げにも対応できるわね。 サクッと貼るだけで、便利だわ~。
余談じゃが、、、 磁束を集束する特性μ’は近距離無線通信(NFC・Felica)で使用する磁界アンテナ周辺で使うことがある。下の左図のようにアンテナと隣接する金属から生じる渦電流の影響で磁束が相殺され全く通信距離が取れなくなった時に有効なのじゃ。 使い方は、送信周波数13.56MHz付近でμ’が大きくかつ、μ”は低いシートを選定し、右図のように使うのじゃ。
ノイズ輻射があった場合でも磁性シートがあれば解決できますね。 これはまさに「鬼に金棒」。 なんでも貼って解決しちゃいましょう。
なみりん、本当にそう思うかい?? 磁性シートを使ったノイズ対策は、コストが高くなりナンセンスじゃ。 具体的に言えば、磁性材料をベースに粘着シート、セパレートシート、金型・版代、貼り付け用治具、貼り付け作業者の人工費これらすべてを含めると安くはならないのじゃよ。 いいかい。磁性シートを検討する前に、ノイズ源が存在する基板上でパターン対策やノイズ対策部品などで解決できる点があるはず。本来「基板上で起きたノイズ問題は、基板で解決しなければならない」のじゃ。 磁性シートはノイズ対策の最終手段であることを忘れてはならんぞ!!